美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H427

「『タイムデスケーション』?」

 私は首を傾げる。でも……何となくその言葉から時間的な魔法だとはわかる。でもそんな大層な魔法なんてあった? 少なくともあんまり魔法適性が高くない人種にはそれだけの魔法は夢のまた夢だった思う。
 でも完成してたっていうの? 今スナフスキンの巫女が技術者たちの執念だと言った。もしかして、私が眠りに落ちて世界がアクトパラスとゼンマイに支配されていく中でこれに賭けてたってことなのかもしれない。何年後かもわからない私が目覚めるその時にチャンスが残ってるように……

 発動されたらしいタイムデスケーションは変なオブジェから七色の光を発してた。それに触れると見たこともない光景が頭に浮かぶ。どうやらこの光一つ一つが世界の記憶とも言えるような……そんなものなのかもしれない。

『なにを! 何をしてる!?』

 そういいつつ、ゼンマイがめっちゃ攻撃を仕掛けてる。でもやっぱりあの部分はすでにこの空間には存在しないのか、魔法が中断される気配はない。ただ世界樹の根は素通りしてるだけ……けど奴だってこの世界をいや宇宙をとったやつ。攻撃の手段はそれこそ物理的な方法だけじゃないだろう。事実、なんか下の私たちの星だったところから大量のマナが浮かび上がってきてる。
 多分だけどその超大量のマナで塗りつぶそうとしてるみたいだ。実際それだけの力はあるだろう。てか周辺の別の星のマナもかき集めてるね。こっちが二つの星のマナを使って大魔法を発動させるのなら、向こうは今までとってきた星々から力を集結させると……まるで終末決戦じみてきた。
 でもゼンマイなら苦も無くそれができるだろう。私も歌ってる場合じゃないかも。

(私は何をしたらいいわけ?)

 それが大切だ。魔法は発動してる。けど、いきなり過去に戻るとかなってない。なら何かまだ発動条件があるんだろう。

(全てを受け入れなさい。そして時間の起点を思い浮かべなさい)
(もっとわかりやすくいいなさいよ!)

 私は抗議した。だってそれじゃあよくわかんないじゃん!! 確かに端的だったとは思うけど、それにも限度ってものがあるよ。

(この魔法は膨大な時の確変です。世界は決まった過去を持つようで決まってない。だから世界には干渉の余地がある。だから世界を……違うと思わずに全てを受け入れなさい。丁度今はゼンマイは放出してる。狙い通りです。
 奴よりも時を受け入れることが出来れば、一番戻りたかったその瞬間に世界はリセットできるでしょう)

 なんかタイムデスケーションという魔法はとんでもない魔法だった。

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