美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H424

『マナコンピュケーターはまだ健在ね。それなら残った力を総動員して、まずはマナコンピュケーターとの繋ぎなさい』
「そんなことしたら皆が死ぬわよ……」
『アンタが死んだら全てが終わりでしょう。それに自分の価値が一番高いんじゃないんですか? 他人のこと、そこまで大事なのですか?』

 こいつ……私の事どれだけ残酷で薄情な奴だと思ってるの? 私は見た目通りにとても心優しい……うんまあいいけど!!

 しょうがないから私は自身のマナを薄くのばしてマナコンピュケーターと繋げた。そしてマナコンピュケーターが作り出す適応できるマナを取込んでちょっと回復を――

『無駄なことに使わないでください。よくマナコンピュケーターの内部を知りなさい。すると見えてくるはずです』

 なにが? とか言いたいが、そんな場合でもないから私は素直に従うことにした。内部を知る……ね。そんな技術は私にはない。機械系にはそんなに強くないし……魔法だって基礎的なことしか私は学んでない。
 だって私には圧倒的なマナがあったからね。それで大抵何でも出来たのだ。だからマナコンピュケーターの内部をどうにか出来るとか思わないでほしいが、スナフスキンの巫女もそれを私に望んでるわけじゃないと思う。私はとりあえずマナコンピュケーターに繋げたマナをたどってそのマナの循環を知る。
 するとなるほど――と思った。どうやら重要な場所に設置されてたマナコンピュケーターは色々なシステムへと繋がってるらしい。

『わかりましたか? 今から稼働させるシステムを指定します。それの通りにシステムの稼働を』
「わかった……」

 これってどれだけの装置を稼働させるか知らないが、そこまでマナコンピュケーターでもマナを生み出してるわけじゃない。そうなると足りない分は私が補わないといけないわけで……まだまだ頑張らないといけないみたい。

 私はスナフスキンの巫女の指示に従って、繋がってる装置を遠隔でつけていく。かなりエデンがボロボロになってるだろうに、これらの装置が無事だったのかたまたまなのか、それともそこだけかなり頑丈に作られてたのか……いや勿論無事じゃなかった装置もあったけど、それでもなんとかかんとか……ね。

 周囲に低音が響き、リズムが大きな音で刻まれ始めた。そして流れる歌声のそれは、シズちゃんとオオランちゃんではない。これは……

(プリムローズの皆の声……)

 歌を録音したのが流れてる? でも完璧じゃない。意図的にわたしの声はない。これってつまりは、私にも歌えって事? この状況でなんという鬼畜な所業。でもやってやるよ。私はツタで絡まれてる中、静かに口を動かし始める。

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