美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H417

 宇宙空間へと出た。体をマナでおおってるからここに空気がなくても大丈夫だ。まあそもそも、私と違うマナが大量にあるから、逆に空気的な物があった方がまだましだったかもしれないけどね。
 なにせこの世界にはまんべんなくアクトパラスとゼンマイの力が蔓延してる。それは私には良い物じゃない。というか、以前の世界のままの私たちには相容れない物だ。
 既に数千年経ってるんだし、普通なら代替わりとかしてく過程でそのマナに体を馴染ませていくんだろうけど、皆もコールドスリープしてたせいでそんな世代を重ねてるわけではないからね。どう考えてもこの力に適応なんて出来るわけがない。
 というか、アクトパラスとゼンマイがそれを許さない気もする。

「どれくらい通じるのかな?」

 私はとりあえず銃口を向けて、光りを打ちだした。なるべく通じるように、一番細い根を狙ってみる。まあ細いと言っても太さ的には数メートルはあるけどね。でも規格外に大きい、それこそ宇宙規模の世界樹の根だからね。数メートルの根なんてのは先端でしかない。それこそ毛細血管レベルだと思う。
 しかも……

「一番細くても駄目か……」

 思ったよりも私とアクトパラスとゼンマイの世界樹の力の差はあるようだ。やっぱり宇宙を取ってるやつは格が違う。でもこのままにしてたら、エデンが串刺しにだらけにされてしまう。そうなると中の皆もただのではすまないだろう。

「打ち出した程度じゃどうにもならないのなら……」

 私は銃の背を額に押しつけてうんうんとうなる。そしてマナを先端へと集める。普通ならそれを打ち出すわけだけど、今回は違う。

「もっともっと……」

 私はどんどんとマナを先端に集める。いつもの数倍の大きさのマナの球体ができあがってる。でもそれを放とうとはしない。むしろここからだよ。

「むむむ……」

 私は集中して、その球体を変化させる。そしてそれを強大な刃とした。撃ちだしたらそれまででエネルギーは失われてしまう。けど、こうやって剣の形状にして手元で斬るとか出来れば、長持ち出来るじゃん。一石二鳥の作戦だね。

「よし!」

 かなり大きく作った剣だけど、元はエネルギーだ。重くなんか無い。だから簡単に振り回せる。私は近づいて世界樹の一番小さな根にもう一度攻撃を与えてみた。

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