美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H416

『そうか、愚かだな』

 私の拒絶の言葉にゼンマイがそんなことをいった。私は身構える。何をこいつがしてくるか警戒してるのだ。はっきり言って今のゼンマイはただの歯車一個。小さな小さな歯車だ。
 でも……その内側に内包されてる力は膨大だ。拒絶したときから、息さえもしづらいような圧力が私にかかってる。

『なら、無理矢理連れて行くだけだ。どんな状態になったとしても』

 そう言って私の前に現れたゼンマイは恐ろしいほどの力を発する。そして次の瞬間、再びエデンが大きく揺れた。状況を見ると、世界樹の根が次々とエデンに刺さってるらしい。

『ここを潰して、憂いを無くしてやろう』
「させないわよ!!」

 私はキューブに力を送った。それもかなり。それによってエデンの機能が発現する。それはエデンを護るための結界だ。けど……

「くっ!?」

 ピーピーとうるさい音が響いて、キューブが結界が破壊されたことを告げる。むむむ……やっぱり私の力だけでは、この宇宙を取ったアクトパラスとゼンマイの世界樹の根を防ぐことは出来ない。力の桁がどう考えても違う。これは……やってしまったか? 今から土下座する? いや……もう遅いでしょこれ。こうなったら……

「外に出るわよ。直接たたき切ってやるわ」

 そうするしかないよね。地上に設置してある砲台とかじゃきっと世界樹の根を壊すことは出来ないと思う。だから私が行くしかない。

『無駄だよ。そんなこと』

 ゼンマイの奴がそんな風にいってくる。いつの間にかその圧力は引っ込めてるが、イヤな感じだ。だから私は――

「ふん!!」

 ――拳に力をまとわせてゼンマイを殴っておいた。一応吹っ飛んでいく。

「五月蠅いのよ。美少女を舐めるんじゃない」

 それは舐めたいだろうけど、簡単に舐められると思ったら大間違い。美少女とは可能性の塊なのだ。全ての願いを背負うし集まるのが美少女と言うもの。
 よく美少女が世界を救う創作物があるのはそのせいだ。私はキューブに命令して、直接ここから外に出る道を開けさせる。そして一つのキューブを呼び出した。そこは小さな両手代の箱だ。それを開けると、そこには銃が入ってる。

 私の銃だ。眠り前にグルダフが回収して、それから色々と改良とかもしてる私が初めてに取った武器。まだ残ってて良かったよ。さて、武器も手に取ったし、私はエデンの表層へとキューブに乗って移動した。

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