美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H414


「私をあんた達がほしがるのはわかる。なにせ私美少女だし。でも、私があんた達についてくメリットって何よ?」

 私は優位に立ちたいから、そういう風に言ってみた。私的にはこっちにもメリットがないと、流石に皆を裏切れないって言うか? メリットが超大きかったら考えなくもない。

『何を勘違いしてる? 選択権があると思ってるのか? 貴様達の依り代を葬る事なんて、私にはたやすい』
「それってエデンを人質にしてるって事?」
『他に何がある?』

 まあ実際、アクトパラスとゼンマイの立場と私の立場では、圧倒的に向こうが強者なんだよね。知ってた。けど、こき使われるとか、奴隷のように体を明け渡すとかイヤじゃん。
 いつでも何時でも、やりたいときにやれる――みたいなそんな都合の良い存在に成りたくない。私はそんな安い女ではない。

『貴様が拒めばこの場で滅ぼしてやろう。だが、貴様が私たちと来るのなら、見逃してやる』
「それって、見逃すだけなの? 皆は外に出れるようになるって事?」
『それは無い。人種の生存圏はそのエデンという場所だけだ』
「ちょっと待って」

 私は考える。考えるのはあんまり得意じゃないが、考える。とりあえず私がアクトパラスとゼンマイについて行けば、この場は助かる。それにエデンを襲うこともなくなりそうだ。
 どこまでこいつを信頼したら良いのかわかんないけど……

「絶対に人種とエデンに手を出さないと契約とかしてくれるの?」
『私たちの領域を犯さないのという契約もあればしてやろう』

 なるほど……でもマジでこの宇宙がそのままアクトパラスとゼンマイの領域なら、本当に人種はエデン以外の場所はないって事になる。

(エデンだけで生きていける?)

 一応色々な設備は直したけど……エデンにあるクリスタルウッドの枝葉だけでは、再稼働させたシステムを維持するのはきっと困難だ。マナコンピュケーターがどうにか……いやさっきは私がドバドバとこいつのマナを魔法で送り込んで、超稼働させてたからどうにか余剰出来るほどのエネルギーを生み出せてたわけで……いやそもそもかマナコンピュケーターの稼働ってこいつのいう領域の浸食になりそうな気がする。
 そう考えると危ないね。でもそうなると……ほとんどのシステムはやっぱり稼働を停止する。アンティケイドもヌーディケイドもヌーデレリアも維持は出来ない。
 エデンの表層にはでれると思う。それで自給自足していけば……いけるかな? 数千年放置してるから荒れてるからね……かなり大変だろう。それにシステムがまともに動かなくなったら、循環する水とかどうなるか……人は水がないと生きてけない。
 人種は他の種族と違ってマナにだけ依存してるわけじゃない。これは一人で決めるようなことではないのでは?

「ちょっと皆と相談してきて良い?」
 
 私は思いきってそう聞いてみた。

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