美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H412

 主砲が放たれる。最後のポイントへの射撃だ。これが直撃したら、何らかの変化がこの星に起きるかもしれない……し、起きないかもしれない。
 もしかしたらこっちの予想は全然的外れ……って事もあるからね。なにせ大地はかなり変わってるし、あの人の予測が的外れって事もある。
 流石にこれ以上主砲を撃つには休憩が必要になるから、これで決まってほしいが……そんなことを考えてると、案外あっけなく主砲はポイントへと着弾した。

「何で……」

 よし! とかが出てくるものだと思ってたけど、自分でもこの発言に驚いた。なにせ真っ先に疑問が来たんだからね。私は自分をそれなりに楽観主義者だと思ってるよ。そんな私が頑張って自分自身の力で達成したというのに、真っ先に喜びじゃなく疑問が来たんだもん、それはびっくりもすると言うもの。

 だってこの一つ前には妨害が入ってた。アクトパラスとゼンマイが結界か障壁のような物を張って主砲を一度は防いだんだ。なら、次も来るって思うじゃん。最後ならそれこそ必死に護る物だし……けどそうじゃなかった。
 だから思わず「なんで?」とか言っちゃったんだ。おかしいと思う。とりあえず私は着弾点をみる。そしてなるべくマナを回復させるために息をいっぱい取込むよ。意味あるかは知らん。

 今撃った三カ所のポイントは鍵となる場所の筈だ。確かに今、この星には沢山の世界樹がある。それこそ地上全て世界樹という、まさに世界樹を量産するための星へとなってる。
 世界一つに一つの世界樹という理を無視した行いだ。でもそれにはきっとなにか種があって、そしてそれをやるための鍵みたいな物があるんだと思う。
 それが一番最初に私のクリスタルウッドから置き換えたはずの世界樹だ。それこそがアクトパラスとゼンマイが一から生長させた筈の世界樹だからね。
 それが今のこの星に見えないのはどう考えてもおかしい。だってクリスタルウッドだって宇宙にまでそびえるほどの巨木だったんだよ? しかもそれは世界を取る前からだ。
 なら世界を取ったアクトパラスとゼンマイの世界樹って成ると、どう考えてもクリスタルウッドよりも小さい……何てことないじゃん。でもそんな巨木は見当たらない。それこそがおかしい。隠してるとしか思えない。
 だからそれがこの星の大量の世界樹の生産工場としての鍵じゃないのかなって……ね。

「なんか……星が落ちてるような……」

 エデンから星が離れていってない? そんな事を思ってると、この変なピンク色した宇宙空間にも変化が起き始める。なにやら頭上から伸びてきた。それは白い根? それが落ちようとしてた星へと絡みつく。そしてさっき私が主砲でつけた傷を……

「回復してる。ああ、そういうこと……」

 私はこの変な宇宙空間へと映像を映してそう呟いた。理解したよ。アクトパラスとゼンマイの世界樹は隠れてなんかなかったようだ。どうやら私たちの星ごと……いや、一つの宇宙空間さえも包み込むほどに強大になってるんだ。

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