美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H409

「よし!」

 私の思惑は上手くいってる。稼働したマナコンピュケーターだけど、ただ周囲のマナを自然と取込むだけでは今まさにこの瞬間必要としてる私としてはなかなかにもどかしい物があった。
 でもそこで魔法である。エデンへと風が集まるように簡単な魔法を展開して発動、それによって自然と風が吹いて来てエデンを通ってくれる。それだけでそこにあるだけだったマナが集まるようになる。後は勝手にマナコンピュケーターが取込んでこの世界のマナ、つまりはアクトパラスとゼンマイの独自のマナをかつてのクリスタルウッドが発してたマナへと変換してくれるのだ。

 それに百を与えて十だけを変換出来るような効率的に良くない試作機だけど、これだけ大量のマナをぶち込めばそれだけ変換してくれるマナだって増えるわけで……私は幾分か楽になってた。

「後、二・三個はほしいな」

 そんなことを呟く余裕もある。てかやってよかってた魔法の勉強。いや実際にはさ、この発動にはエデンの協力を得てたけどね。まるで私がマルチタスクを発揮して魔法を独自に発動したかのように発してたけど、実際エデンの補助を受けてた。
 まあバレなきゃ良いんだよ。てか、こんな攻防をやってるなんてラリア達だって理解してないだろうし、ズルしたって良いよね。負けるよりはよっぽど良い。

 マナコンピュケーターのおかげでマナが徐々に回復してきてるし、そろそろこの厄介な雷も打ち払いたい。そして衛星軌道上へと至るんだ。そこから反撃開始だ!! てか待てよ……

「むふふ、良いこと思いついたよ」

 私はニヤッと悪い顔して微笑んだ。まあそれでも悪い顔なんて言ったところで私は美少女……いや最高の美少女である。結局は天使のような微笑みなんだけどね!

「うおおおおらああああああああ!」

 私はそんな声を出しながら気合いを入れた。そしてようやくエデンが上へと上昇を始める。そして勢いを取り戻したエデンと私は、ついにどでかい雷の圧力に勝ったのだ!

「よし! 雲を抜けるわ! もう皆大丈夫だからね」

 後は楽ちん。衛星軌道上へと行くだけだ。そうして宇宙にでた私は観た。その様変わりした宇宙の姿を……ね。私の知ってる宇宙は暗い空間に沢山の星がある光景だ。実際かつてはそうだった。でも……今私たちは星から出た筈なのに、そんな光景は広がってなんかない。むしろ……なにもないと言って良い。なんか薄ピンク色の空間が広がってる。

「何……これ?」

 確か地上から観てるときはかつての星空だった。なのに実際はこれって……どういうことなの? 頭が混乱してきた。

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