美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H407

 無限とも呼べる力の供給を受けられるアクトパラスとゼンマイ側に、たった一人で挑むけなげな私……そんな悲劇のヒロイン気取ってみたけど、状況が好転するわけじゃない。
 
「はぁーふぅー」

 私は大きく息を吐く。汗が出てきちゃったね。誰かに拭いてほしいけど、誰も居ないから仕方ない。私の汗なら舐めたい奴らが五万と居るだろうけど、もったいない限りである。

「なにか……ないの?」

 私は周囲に浮かぶキューブにそう語りかける。まあ既に羽持ち達もこのエデンには居なくなってる。多分私が眠って勝ち目が薄くなった時点で彼らは別の世界へと旅立ったのだろう。そもそもがエデンに縛られてたわけじゃないし。
 そう言う縛りから解放されるために、彼らはマナ生命体に近しい存在へと昇華してたんだからね。一人くらい残っててくれても良さそうだと思うのは身勝手な思いなんだろうね。なにせ千年くらいは経ってるし、その間暇すぎるもんね。
 そう考えるとここに残ってる奴がいるわけない。彼らがいれば、色々とこのエデンの知られざる機能とかがあったりを教えてくれたかもしれないのに……一応千年前には常にそれを掘ってたけどね。
 どれだけ実用化出来たかでいえば、そんなに実用化出来たのはなかったけど……でも私が眠って色々となくしてく間にも時間はあると思うし、あれだけいた人種が何も残さなかったとも思わないんだよね。
 だってなにせ私が居た時代はイケイケだったわけだし。そんな簡単に転んだまま地べたを這いつくばったりしないでしょ。てなわけで、キューブの情報を私は漁る。
 何か使える物が眠ってないか……開発されたとしても、クリスタルウッドとかなくなったから使えなくなった物って案外多いはずだ。そういう物はエデンのどっかに眠ってるわけで……それを私が強制的に動かせれば、何かこの状況の打破に役立つかもしれない。
 そういうわけで私はキューブの情報を漁ってるのだ。

「ざっくりと検索かけて、更に年代で絞って……防御とか、推力とか、エネルギーとか……」

 なんか該当しそうな検索項目を言っていく。私とキューブは繋がってるから、別に指とか使わなくても操作出来る。それに情報は直接頭に浮かんでるからね。そんな大量の情報の中から、私は一つのある物を発見した。

「マナコンピュケーター」

 それはなかなかにわくわくするような機能があるみたい。

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