美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H395

 エデンの島の下部からいくつかの三角形の物体が落ちていく。ある程度落ちたら、更に三角の部分の降りたたたまれてた部分が伸びる。羽が更に長くなった感じだね。そしてその黒い表面に光が走り、羽の先からキラキラとした粒子が出だした。

 すると落ちてた体が持ち上がるように感じる。飛行ユニットが起動して体を支えてくれたからだ。上手く起動するのかちょっと不安だったわけだけど、どうやら大丈夫みたい。

「きゃ!?」

 ――と思ってたら、なんか安定しない。ポフポフとなんか変な感じになってる。昔の感覚ではもっとスムーズに飛んでたはずだけど……

「やっぱりマナのせいかな?」

 今の世界のマナは昔とは違う。アクトパラスとゼンマイのマナが充満してる。一応この飛行ユニットは空気中のマナを取込んで勝手に飛ぶようになってるわけだけど、やっぱり今までのマナとは違うのが問題なのかもしれない。

 いつ墜落するかわかんない恐怖が……まあそれでも死にはしないけど……でも落ちちゃったらエデンに帰る手段がなくなってしまうからね。それは困る。

「とりあえず、ふん!」

 私は周囲にマナを展開する。私のマナも純度100パーセントで昔のマナではなくなってるわけだけど……昔はクリスタルウッドの割合が大きかったからね。でも今はゼルの力の割合の方が大きい。だからやっぱり昔のマナとは違うかもしれない。けど……

(まあ今の外のマナよりは相性は良いはずだよね)

 その思惑は当たってた様で、私が周囲にマナを拡散させると、それを取込みだしたのか、結構安定しだした。まあそれでも時折ボフって成るけど、全然頻度は減ったから大丈夫でしょう。私の乗ってる奴だけじゃなく、周囲のヌーディケイド達が乗ってる飛行ユニットも安定したようだし、早速地上を目指しましょう。

「これが本当に全部世界樹なのかな?」

 地上に生い茂る木々のちょっと上まで来て私はそう漏らす。はっきり言って、別に普通の木々にしか見えないもん。確かにどこまでも同じ木々が続いてるのはちょっとおかしな気もするし、そもそもがなんか山とか無くなってて、どこまでも地平線しかないんだよね。エデンから見ても海とかないんだよね。

 まさにこの星はアクトパラスとゼンマイによって世界樹の苗床にされたってことだろうか?

「地上には降りない方が良いね」

 地上部分はこの世界樹達が吐き出してるマナが充満してることだろう。いや、既にこの世界にはそれが充満してるけど、まあ濃度の問題だよ。木々が結構隙間無く生い茂ってるからね、下は多分濃度が濃いと思う。だってかなり近づいてるのに、木々が隙間無く生えてるせいで、地上部分が見えない。普通はこれじゃあ栄養を取り合って大きく育たなそうだけど……
 まあそこは世界樹、きっと大丈夫なんだろう。とりあえず私はヌーディケイド達に指示を出して、世界樹のサンプルを回収するように動いてもらう。ちょっとだけ、枝や葉っぱを拝借しよう。

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