美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H394

 私ことラーゼは名プロデューサーを目指してシズちゃんとオオランちゃんをプロデュースしてるわけだけど、勿論それだけをやってるわけにも行かない。
 本当なら二人と毎日イチャイチャとしてたい。現実になんて目を向けたくない。仕事なんかしたくない……と思ってる。だって私は偉いんだ。偉い奴は自分のやりたいことだけをやるのが役目だって思ってる。

 でもそれもどうやら平和なときに限る……という文言が入るみたい。今のような時代には偉いんなら積極的に動きなさい――的な圧力がある。

「はあ、働きたくない」
「あんたの意見でしょ。私の事、色々と実験台にしてるんだから、あんたもその力、利用させなさい」

 むむむ、なんか今この地下世界で一番明るいのはラリアの奴だ。自分の中の術式がどれだけ有用であるかを宣伝して、皆からの信頼をもう一度取り戻したのが大きい。しかも一応、アクトパラスの足を退けたのはラリアって事になってた。

 自分の手柄を横取りされるのは嫌いだが、まあそこはグッと我慢した。そして今、ラリアは自分自身の体を差し出して色々と実験とかを繰り返してる。
 本当ならイヤになってもおかしくないと思うんだけど、何か求められてるっことがラリアにとっては大切みたい? 皆から頼りにされてるって状況ならラリアは元気であれるようだ。

 私の眼下には地上が見える。そして遠くには地平線。どこまでも続く森が広がってる。ここはアンティカが発着するための場所だ。飛行ユニットと共に、アンティカを空に送り出すための場所。
 アンティカは何か残ってないんだよね。アンティカが残ってたら、戦力として力強かったんだけど……残念で成らない。
 そして今私……いや、正確には私ではなく、私の意識を移したアンティケイドとそしてヌーディケイド達がここに居るのはある目的のためだ。人サイズの飛行ユニットにまたがり、私たちは十人程度で地上を観てる。

「不用意なことを言うんじゃなかった……」
「地上にある世界樹を利用する。アンタにしか出ないような発想ね。発案者でリスクもなく実行出来、そしてヌーディケイド達はあんたの命令しか聞かない。なら、もう決まってるじゃない」

 本当にあのとき口を滑らせた自分の口が恨めしい。この完璧な形と厚みをしてる唇からポロッと名案がこぼれ出たのが運の尽きだった。私たちはアクトパラスとゼンマイのデータが少ない。だから更新が必要だった。そもそもラリアの毒だって、遙か昔のアクトパラスとゼンマイの力を解析して作られた術式だ。
 だから今の奴らの力の分析が出来たら、もっとより効果的な術式を組み込めるのでは? ということになったのだ。そこで私が……「なら下にいっぱい生えてる世界樹をつかえばいーじゃん」とかいったのだ。

(わたしのばかぁ!!)

 というわけで、これから私たちは地上に降りて世界樹のサンプルを採取する任務に行くのである。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品