美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H382

 クロスのせいで……というと言いがかりかもしれないが、あいつがフラグなんて建てるからそれを回収しに奴らがやってきたのだ。だから責任を取って外に出したいくらい。

「まだ慌てるようなときではないですよ皆さん!」

 お前が言うな。この一級フラグ建築士め! いや、まだフラグ建てたの今回だけだけどさ! でもそんな気がするんだよね。それに今の発言だってそうだよ。私たちが追い詰められるフラグを建ててるよね? 敵かこいつ?

 私たちは会議をしてた場所から移動して、一番この地下で広々とした場所に集まってる。てかこの地下で生活してる人達全員がそこに集まってた。公園というか広場というか、そういう場所だ。中心にはなんと私の銅像が建ってる。
 そこでクロスの奴が皆に向かってそう言ったのだ。どうやらコールドスリープ前からこの警報が鳴ったらそういう風にするという訓練でも皆さんやってたみたい。

「私たちは大丈夫です。今は戦力も十分にあります。きちんと落ち着いて、奥のシェルターへと避難をお願いします!」
「皆、大丈夫だから。私を信じて」

 クロスの言葉の後にラリアがそういった。皆を安心させようと不安な顔なんて一切せずにまっすぐな瞳だった。そこに落ち度なんて万に一つも無いだろう。だってこういう場合、トップがうろたえてたら、それが下の方にも波紋のように広がってしまう。そうなったら収集がつかなくなってしまうんだ。
 そうならないために、ようにってちゃんとラリアはわかってて間違ってない選択をした。

 けど……

「ラーゼ様!」
「ラーゼ様! 私たちは大丈夫ですよね!!」
「ラーゼ様!!」

 ……うん、ラリアは悪くないよ。けど、大多数の人達に私の方が上だと思われてたって事だね。そういう責任って取りたくないんだよね。だからここはおとなしくしてたのに……けどおとなしくしてても私の神々しいまでの美貌って抑えきれないからね。
 気づかれちゃったかぁ! 私は思わずニヤニヤしちゃうよね。するとラリアがこっちを睨んでた。鬼の形相で。それになぜか壇上に居るラリアやクロスの奴のとこよりも、こっちに人が集まってきてるって言うね。ああー優越感と罪悪感にさいなまれちゃうな~。

 まあでもここは……ほらしょうがない。今は皆の不安を取り除くのが最優先だ。

「任せなさい」

 その一個で皆さん「「「おおー」」」となってシェルターに行ってくれた。そして残った先導する立場の私たち。こっちを睨んでるラリアの方にクロスが手を置いて一言言う。

『気にすることはない。あの方は特別だ」

 いや、お前煽ってんだろ。

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