美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H381

「うーんまあ、クリスタルウッドがもう一度復活するのは確かに良いとおもうけど……」

 私はクロスの案にちょっと慎重になる。確かに私たちの生活圏を広げるにはそれが必要なのかもしれない。私のマナではだめだったしね。なのに数千年と同じ筈のクリスタルウッドのマナではそれが出来てる。でももしかしたら、それが出来てるんじゃなくて、見逃されてるとしたら? 意味ない可能性だってあるよね。
 まああのアクトパラスとゼンマイがここをわざわざ見逃す理由がわかんないが。

「クロス様、それは危険すぎます。苗木はあれだけなのです。もしもこいつが触れてそれで苗木が枯れたら……私たちが適応出来るマナが無くなってしまいます……そうなったら……」

 そうなったら皆仲良くお陀仏……だね。まあ多分だけど私は死なないと思うけど。けどたった一人、こんな世界に居たって面白くなんてないよ。それに一人でサバイバルなんて断固反対だし。私は優雅に暮らしたいのであって、原始人に戻りたいわけじゃない。健康じゃなくても甘くて美味しい物を沢山食べたいし、ゴロゴロしてても誰もが面倒見てくれるような世界であってほしい。

 それを考えたら、苗木を刺激するのはリスクがね……

「ラリアの意見はもっともだね。そもそも、今は世界の支配者が違うし……クリスタルウッドの苗木がまだ健在なのがそもそもおかしいんだもん。もっと色々と研究してからじゃないと流石の私でも出来ないね」

 とりあえずクロスの案は否定しておく。世界樹は世界に一つ……いや、その原則がなくなっては居るようだけど……地上の世界樹達はあくまでもこの星を支配してるアクトパラスとゼンマイが作り出してる物だろう。だから世界にちゃんと繋がってるんだと思う。
 でもさ……今のクリスタルウッドはそうじゃない。そうじゃないはずだ。なら、存在してること自体がおかしい。だから下手に私が刺激すると……本当にどうなるかわかんないんだよね。別に私の知らないところで死んじゃうのはそこまで心が痛まないし、言い訳も出来る。でもこれしたら、その原因ほぼ私――に成りかねない。それはちょっと……直接的にシズちゃんとかオオランちゃんとか殺したとなったら……流石の私も傷つくよ。

「ですが、今回は上だけで止まるかわかりませんよ皆さん」

 むむ……クロスの奴、皆の恐怖感をあおってきやがる。今回の会議は私が目覚めてちょっとずつ私の有り余る力を使ってエデンの地上部分の活動領域を広げてたんだけど、その地域が結局アクトパラスの足によって壊滅したって事だ。
 結界とか行ってたけど……何の意味も無かったのだ。ようは奴らの裁量一つで生かされるか殺されるかでしかなくて、そして今度はそれがここにまで……地下にまでくるんじゃないか? ってことをクロスの奴は言ってる。
 まあそれが無いとは誰も言えないけど……でも一応数千年は大丈夫だったわけだよね? とか思ってると、『ブーブー』というけたたましい音が地下に鳴り響く。
 まさか、さっきの発言はフラグか? 私はじろっとクロスを睨む。すると向こうはウインクしてきた。そうじゃないよ!

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く