美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H379

「それで、パオ君の吸った奴はどうしたら良いの?」
「えとえと、とりあえず…………あの……」
「うん?」

 なんだろう、なんかバンゼちゃんの様子がちょっと変わったぞ。パオ君を見て目がギラギラしてるというか……ちょっと怖い。

「この子お! この子! 調べたいです!! てか前々から思ってたんですぅ! ヌーデレリアやヌーディケイド、アンティケイドだって調べたいって!!」
「ああ……」

 まあそれはわかってたよ。でも……ね。一応残された資料とかはそっち方面担当の人達に公開してるし、それはきっとバンゼちゃんだって読んでると思う。でも……ね。
 下手に弄られると何が起きるかわかんないって事で実は誰にもアンティケイドやヌーディケイドやヌーデレリアは触らないようになってる。だってそれでも彼らには完璧な整備システムがエデンに組んであるんだ。だから触る必要性がないって言うか? それならそれを使い続ける方が良いじゃん。アンティケイドとか実際運用するための調整ってあれが一番難しいんだよ。

 なにせヌーデレリアやヌーディケイドはほぼ機械と言って差し支えないけどさ、アンティケイドは違う。生物……と呼べるかは微妙だけど、そう言う要素がある訳で、けど普通の生物と違うから、色々ときちんとやらないと、外界に対応出来なくなったりする。それこそ外でどろっと溶ける……とか? ある得るかもしれないんだよね。

 それに私的には一番便利に使えるのはアンティケイド達だからね。今はアンティケイドは増やすことは出来なくて、その数を維持するだけで精一杯だ。その数だってヌーディケイドやヌーデレリアとは違って十数体しか居ないからね。貴重だからね。

 あんまり下手に弄ってその数が減ると困る。でもじゃあヌーデレリアやヌーディケイドなら大丈夫かと言われると……それも……ね。なにせ数千年という時間とそして過去にあった様々なゴタゴタでかなり無くなってる資料とかもあるみたいなんだよね。

 ヌーディケイドやヌーデレリアだってアンティケイドと比べたら、大雑把かもしれないけど、それでもこの子達だって技術の粋の結晶なのだ。あんまりバカスカと分解することは出来ない。

 なので今はまだ資料で勉強しててね……の段階だ。

「ちゃんと資料は読んだんでしょ?」
「はい! 何回も何回もこの子達を頭の中で分解しては組み立ててきました!」

 そういうバンゼちゃんはめっちゃ息が荒い。口だけじゃなく鼻からもフーフーとめっちゃ空気出てる。流石に何かを感じ取ったのか、パオ君は私の元へと戻ってきた。

 そして脚にきゅっとしがみつく。うん可愛い。そうだ、今はバンゼちゃんの興味のことではない。私は仕事を持ってきたのだった。そっちに興味を移そう。

「そうだ、ちょっと面白い物を見つけたから見てほしいんだよね」
「ラーゼ様が言うのなら……」

 めっちゃ渋々だね。でもこっちもきっと……多分? おそらく……は面白いかもしれないよ! というわけで私はバンゼちゃんにあの謎のオブジェクトのお調査をお願いした。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品