美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H375

「何でよ!」

 私は良い笑顔で断ってきたクロスの奴に食いかかる。私の命令は絶対なんだけど?

「私はラーゼ様の意向はなるべくくもうと考えています」
「なら――」
「ですが、私は既に貴女への愛を語ってしまいました。そんな私が手のひらを返したかのように、ラリア様に愛をささやいても聞く耳を持つでしょうか?」
「――うーん、それはそうだけど……」

 ラリアも馬鹿じゃないからね。てかこいつが私に惚れたって事を言わなければ……いや待てよ。

「クロスだけじゃなくても、今私に惚れてる人って沢山居るわよね?」
「そうですね。ゆゆしきことですが、この感情を自分ではどうしようもないと言うことを私は知ってるので、他の者に何も言うことは出来ません」

 まあ恋には落ちるっていうからね。落ちちゃったら、捕まる所なんて無いのだ。つまりは止まることは出来ない。理性以外では……こいつ以外はその理性的に振る舞ってくれてるって事だろう。まあ私は本当に高嶺の花だからね。
 普通なら、私に惚れても、こんなに積極的にはでれないのが普通だよね。クロスの奴が異常なのだ。

「私に皆が惚れるのは仕方ないわよね?」
「そうですね。ラーゼ様の美しさは抑えようがありませんから」
「あんたのそれは押さえときなさいよ」

 イケメンのくせに私の前だといつだって下半身起たせてるんじゃないわよ。ちょっとは恥ずかしがってほしい。まあ私も別に普通に指摘するだけなんだけど……けどシズちゃんやオオランちゃんが居るときにこんな風になってるのは困るんだよね。
 あの二人純粋だし。まあそれ以外にではクロス本人以外は困らないからいいかなって……

「すみません、これは男の性なのです。どうしてもラーゼ様の側に居るとこうなってしまいます」

 別に良いけど……少しは恥ずかしがれ。まあもう周囲も成れちゃってるけど……

「それで、皆がラーゼ様を好きと言うことは客観的事実として、どうするのですか? 私の気持ちは変えられませんし、嘘の言葉はラリア様には届かないでしょう」
「嘘でも納得出来ればいいんじゃない?」
「はて? それは一体?」

 よくわかってない感じのクロスに私は説明してあげるよ。

「つまり、私に惚れるのは全ての異性にとって自然なことなのよ。毎日太陽が昇って沈むようにね。そういう自然の摂理と同じ。太陽に嫉妬する奴はいないでしょ? 
 だから誰もが私に惚れてたとしてもしょうがないと思わせる」
「それで納得するでしょうか?」
「大丈夫、だって私、誰の物にもなる気なんて無いしね。それに皆私に惚れてるけど、私を得れるなんて思ってない。だから心に私がいても、二番目を求めるのが普通なの。
 みんながそうやって折り合いをつければ、ほら、自然とラリアだって納得出来る」

 名案である。つまりは私に惚れるのは自然現象と同じだから、同列に考える必要はないって事だ。

「た……確かにラーゼ様に惚れるのは必然と言えます……」

 私の完璧な理論にクロスも打ち震えてる。でもバッと顔を上げていってきた。

「ですが私は他の奴らと違って諦めてなど居ません! 誰も貴女の隣に立てないのなら、私が! 私だけでも立ちます!!」

 なかなか男らしい宣言だけどさ……あそこビンビンなんだよね。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品