美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H356

 とりあえず私はコールドスリープで眠ってるらしいその場所に行く。なにせずっと一人でいるって嫌だし。話し相手くらいほしい。さっきからゼルの奴に呼びかけてるのに反応無いからね。魂の回廊のつながりは感じるから、ゼルも生きてはいると思うけど……流石にアクトパラスとゼンマイがこの星を取ったからもうエデンには居ないのかもしれない。

 とりあえずキューブを操作して道を作る。そこからまっすぐに進むと、ドーム状になってる場所に、沢山の繭のような機械が斜めに横たわってる。

 私が最初に目覚めたときにもここに居たね。昔はここに羽持ち達の体があったわけだけど……それはどうしたんだろうか? いや、私が有効活用して良いよっていって、大体は使っちゃったか。アンティケイドとかの素材にしたね。

(でも可愛い子は残しておいたはずだけど……)

 羽持ち達ももう居ないみたいなんだよね。そもそもが肉体を持たない精神生命体みたいなものになって肉体を放棄してたからね。だからこそ、ここに眠ってた体を彼ら自身が「どうしてもいいよー」と言ったわけで。まあ貴重な体だったし、色々と使わせてもらったんだよね。

 羽持ち達の体は比較的に人種に近いから、もしかしたら人種を強化するのに使えないかなって考えたりもしてた。なにせ最弱だからね。上手くいったかはわかんない。

「リストとか無いのかな?」

 この部屋にあるデバイスに触って、適当に操作する。そんな適当に触って良いのか? 良いのです。だってここは私の物なのだから。それにすぐにリストは見つかった。色々とあるね。なんか種とか動物までコールドスリープしてるみたい。

「大体は人種だね」

 どうやら眠ってるのは大体が人種みたいだ。まあここまでの年月がたつとは考えてなかったのかもしれない。万単位の年月がたってるみたいだしね。

 人種は圧倒的に寿命が他の種族よりも少ないから、きっと人種がコールドスリープの対象だったんだろう。他の種はエデンにいれば命を繋げられると、そう思ってたのかも。
 でもどうやら既にこのエデンには、他の種の存在ももうないんだよね。なにせ人種以外の種が長命だといっても、不死ではない。上位種ならそれもあるし、この世界を支えてた柱的な存在なら死ぬことはないだろうけど……

「そういえばあいつは?」

 私が目覚めたら真っ先に襲ってきそうな奴がいた。てか眠ってる中でも襲ってそうな奴。鉄血種の親玉である奴はこの世界の柱の一人だったはず。あいつは死の概念なんて無かったはずだけど……もしかして世界の変容で世界を支える柱さえもいなくなったのかもしれない。

 そして流石に万単位の年月を生き続ける種はいなくて、滅んでいった。エデンを探せば、彼らの最後とかも残されてそう。

「とりあえず行き成り全員を起こしても困るよね」

 なんとなくそう思った私は、リストから偉そうな奴を探すことにした。

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