美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H346

「今の一体……」

 なんか警告されてたみたいな? そんな感じだったけど……何が何だかわからない。とりあえず……なんかやばいって事だけが頭に残ってる。

「離れた方がいいのかな?」

 そんなことを思ってると、なんか空間がパリパリと裂けだした。なにこれ? とか思ってると、その空間から何やらタコの足のような物が出てきた。

「アクトパラス!!」

 そのまま本体まで出てくるのか……とか思ってたけど、どうやら出て来るのは足だけみたいだ。その足が私の方へとやってきた。勿論捕まったらヤバそうだし、ヌメヌメするのも嫌だから逃げる。

「何々何なの?」

 なんで空間を割ってアクトパラスの足が出てくるのかとか色々と疑問がある。けど今の私の状態の私にはそんな対抗手段がない。せめて自分の銃がほしい。
 いや、玉座には防衛装置があったはずだ……それを起動できれば……

「一度反応したし、エネルギーは戻ってるはずだよね」

 さっきの頭痛が怖いけど……アレに捕まっちゃいけないのはわかる。しかも次々と空間を裂いてアクトパラスの足が現れている。このままじゃ逃げ切るのも難しい。一回痛い目を見せないとね。

 私は姿勢を低くして走ろう――かと思ったけど、私の運動能力なんてたかがしれてた。だからここは苦手だけど、力を体外に出して体を中心にとどめるって事をやることにした。
 行き成り大容量の力を解放すれば、そんなことは出来ない。あふれ続けるばかりだからどっかに放たないとどうしようもないのだ。けど私だって少しは力の制御が出来るようにはなってきてるのだ。
 なので自分のちょっとした周囲に力をとどめておくぐらい……多分出来る。私はめっちゃ集中して力を放出する。そしてそれを体外に繭のように展開するイメージを連想する。そうすることで、私を守る強固な障壁を作るのだ。

(よしよし、流石私。案外いけるいける)

 そんなことを考えてる間にも、空間から湧き出たアクトパラスの足が私に絡みついてきてる。でもこの障壁のおかげで、私の体に直接触れられてはない。まあ障壁ががぎちぎちいってるけどね。
 しかも外側から外側へとどんどん絡みついてきてる。それでも動けるけどさ……常に障壁の強度を強くしていかないとやばい。

「これ……届くかな?」

 いや玉座から飛び退いたと言ってもせいぜい二・三歩の筈だ。玉座はすぐ側の筈。ちょっとだけ触れて頭で思えばそれでいいはずだ。なら……いける……

「うう……苦しい」

 出力を上げていくと、どんどんと苦しくなっていく。思わず胸の中心部分を押さえちゃうよ。マナが溢れてこようとするから、無意識にその中心を押さえてしまうんだよね。

(あとちょっと……あとちょっとのはず……ううう!)
「もう限界……」

 その瞬間ダムが崩れるようにマナが私から溢れ出す。そして周囲一帯に超高密度で集まったマナは耐えきれずにマナ爆発を起こしてしまった。真っ白になる視界。なんとエデンの城が綺麗になくなってしまった。

「やっちまったよ……」

 私はぽつりとそうつぶやいた。

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