美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H337

 変化はラジエルたちと戦闘を始めて十分くらいで起った。途中から何やら防御を固め始めた……とか思ったけど、これを待ってたのか。何が起きたのかって? それは世界に大きな変化を生むことだ。まあつまりはクリスタルウッドがなんと枯れ始めた。

 葉がひらひらと落ち始めて、そのクリスタルな輝きが陰りを見せ始める。

「なにしたの?」

 私はとりあえずそう聞く。すでにラジエルたちはボロボロだ。けど倒せてはない。もったいぶらずに私も参戦するべきだったか。ロイヤルガードもヌーデレリアたちも頑張ってくれてはいた。
 でも防御を固められると、突破力的にはこっちがよわかったみたいだ。課題だね。確かにヌーデレリアもロイヤルガードも私を守ることを主軸においてる。
 何せ私を守る部隊だからだ。だから一点突破の力が足りなかったみたいだ。いや、大抵なら大丈夫だと思うんだけど、どうやら堅い奴がいたね。体を誰よりもボロボロにしつつも、その足で力強く立ってる種が向こうにはいる。

 黒い岩石のような体に、多脚な見た目。そして馬鹿でかい無骨な岩の盾みたいなのを展開してる種だ。なにあれ……一人城塞かよ。しかもあんな見た目でスピードもあるって言うね。
 さらには自己修復持ちだ。その特性を防御に全振りしたような種だよ。

「何をしたか話すとでも?」
「話さないなら話さないで良いけど、さっさと死になさい。あんたたちを殺した後に原因は究明してあげる」
「それは出来ないさ」

 そういってラジエルの奴がにやりと笑う。むっかーだよ。やっぱこいつ嫌いだよ。
 私は銃口を向けて引き金を引いた。奴らはこれまでの通りに私が向けた銃口から力を凝縮した銃弾が発射されるものだと思っただろう。けど何も出ることはない。逆に魔方陣が浮かんだ。

「こっちだって何も狙ってなかったわけじゃないわよ?」
「ぐっ、これは!!」
「あんたたちの命で、枯れた分のクリスタルウッドを補ってあげる」

 あははははは! わたしを不快にさせるからこうなるのよ。私がやってることは簡単だ。奴らの力を奪ってるのだ。確かに奴らは堅い。あの種が居るとその防御を抜くのは大変だ。でも、別にそれを抜く必要なんてない。

 魂に色づく個々の種の力は奪ったところで普通は簡単に使うことは出来ない。何せ色がついてるからだ。まあ色というか、その存在に染まってるって言うね。
 でも私はクリスタルウッドに直接繋がってるからね。クリスタルウッドならその色を取り除ける。純なマナへと出来る。だからお前たちをこのまま干からびさせてあげようじゃない。

 ラジエルの干物をうさぎっ子に差し出してあげても良いかもね。

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