美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H317

「大丈夫ですか?」
「すみません! お恥ずかしいところを見せてしまって!」
「ママ、今日は切れが良かったね」
「こら!」

 この親子的にはこういう事は日常茶飯事なのだろうか? ジャーマンスープレックスの状態から顔を赤らめながら母親が大勢を戻にしてもケロッとしてる……でも今の行動を見てた大勢の人たちは口あんぐりしてるからね。

 かなり特殊な親子だね。いや、親子なんてそんな知らないんだけどね。そもそもがこの世界にそういうプロレス的なものってないよね? いや自分の奴隷とかを殺し合わせる……的な闇の興行……というかそういうのは昔から人種の間にはあったみたいだけど。
 でもそれは武器を持たせて戦わせるみたいな感じだったと思う。こんなジャーマンスープレックスみたいな技が出るとは思えないけど……それこそ今エデンでやってるもっと平和的な多種族間での戦いの方が近い。
 そっちは競技としてやってて、頼れるのは肉体のみ……だからこういう肉体一つの技? がいろいろと生み出されてるけどね。でもそんなの人種であるこの人は知らないと思うけど……

 それに幼女の言葉を考えるに日常的にこういうのやってそうだし……私は何とか笑いを治めて聞いてみる。

「今の、凄いですね。女性はああいう事なかなかできないと思いますけど?」
「すみません、昔からなんです。昔からカっとなるとさっきのが出て……」
「ママの必殺技なんだよ!」
「こら!」

 もう恥ずかしくてたまらない……という感じの彼女。でも結構興味深い話な気がするけどね。だって彼女はジャーマンスープレックスって技を知ってるわけじゃないし、子供のころのやんちゃな遊びの中で、そういう技を編み出した……って訳でもないみたいだ。
 昔からカッとなると――

「その必殺技のほかに何か不思議な事ってありますか? 昔から何か秘めてる事」

 私はそういって彼女の瞳を見る。向こうからは私が興味津々にしてるってなんてわからないだろうけど……でもこれってもしかしたら何やら向こうの世界の魂が混ざってるとかでは? って思ったからだ。

 実際昔から異世界の人間がこの世界にきてるって可能性は否定できないし、亜子の例もある。多分だけど、この広い宇宙にたくさんの世界がある――筈だ。私はそう思ってる。けどそんな中、この世界に、同じような記憶を持った私や亜子が来た。
 よくよく考えたら、沢山の世界があるなら、もっと別の誰かがきてもよかったと思う。でも私も亜子も完全に同じはわからないが、近しい世界から来てる筈だった。

 そしてもしかしたらこの人も……

(何かこの世界とあの世界には繋がり的なものがある?)

 これまでただの偶然……で、すましてた。けどもしかしたらそれは違ったのかもしれない。

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