美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H297

「それで状況はどうなってるの?」
「はい! ただ今城へと何者かが攻撃を仕掛けてるようです!」
「どのくらいの規模なの?」
「それが不明であります!」
「不明?」
「はい! 攻撃をしてきてる者の姿が確認できません!」
「見破る装備だってあ――きゃ!?」
「キララ様!」

 城が大きく揺れて私は報告に来た騎士に支えられた。なんか顔が赤いぞ。ふっ、私もきれいになったからね。赤ちゃん生んで更に色気なるものが出てきたのかもしれない。

「すっ、すみません!」
「別に謝ることはないわ。助かったわ」
「ありがたいお言葉ありがとうございます!」

 うっさい奴だ。でも城が攻撃を受けてるというのは本当らしい。めっちゃズゴンズゴンしてる。さすがにこの城の守りが突破される……とは思わないが、ここままでの攻撃って何をされてるのか……大軍でも押し寄せてきてる? いや、そんなわけない。だってもうそんなに大量の仲間を有してる種なんてない筈だ。
 そもそもが強い種は数が少ないし……そういうのはアクトパラスとゼンマイの奴らに食われたはず。オウラムは……今攻めてるのにそんな余裕がある? 
 どうやら今せめて来てる奴らはエデンから下賜されてる最新鋭の装備でも認識できないらしい。やたらと隠密性が高い種なのかな? でも……それならこの派手な行動はおかしい。それだけ隠密性が高いのなら、目的地まで隠れていくのがいいと思う。
 私は侵略のしかたとか攻め方とかそんな詳しくないが、見つかったら戦わないといけなくなる……くらいはわかる。
 隠密性が高い種なら、正面から戦うなんてこと誇りに思うとも思えないし、こんな派手に攻撃しまくるだろうか? 

 とりあえず揺れて微妙に歩きづらい中、私は作戦室へと通された。早速用意された椅子に座る。

「敵の位置は割り出せたの?」
「結界への被害から、ある程度の予測は建てられております!」

 なるほど、攻撃を受けた箇所からそいつの位置を逆算してるのね。ふむふむ……でも完全に捉えてはいないと……まあどうあがいてもそれでは後手になるからだろう。

「早急に敵の位置と種とそして数を把握しなさい。敵がここしか狙わないのなら、座して待つだけです」

 この王城の守りが抜かれることはない。だからここだけに攻撃をするのなら、別に慌てる必要はない。一応周囲には避難勧告は出してる。けど万が一市街に被害を出すような奴だと、もっと大掛かりに動く必要が……

「キララ様! タワーが攻撃されてます!」

 むむ……タワーはこの都市でひときわ高い建物だ。あれが倒れると被害がやばい。一応警ら隊が向かってるが、彼らは軍隊ではない。戦力的に人種の制圧はできるが、他種族は無理だ。行かざる得ないか。
 私は指示を出して、街中への軍の出動を命じる。

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