美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H291

「くそ……ミスったな」

 自分達は今アナハイムの路地裏でこそこそしてた。いや、今までが堂々としすぎてた……と言われればその通りだが……路地から顔を少しだし、俺は通りの先をみる。

 するとこの活気があるアナハイムにはふさわしくない何やら全身を黒いスーツに包んで、更に頭もぶっさいくなヘルメットに包んだやつらが銃を携えて歩いてる。あれはこのアナハイムの警ら隊ではない。
 治安を守るために詰めてるやらはもっと普通の、それこそ街に違和感のないような服装をしてた。だがあれは違う。明らかに戦闘を意識した格好と装備だ。
 なぜにあんな奴らがここに出張ってきたか……

「派手にやりすぎたな」
「「「すみません」」」

 このアナハイムという都市に興奮して、そしてどうせ見えないという驕りが俺たちを助長させてしまった。一つ一つなら気づかれることはなかっただろう。だが、ちょっとおかしいが増えすぎた結果……あの者たちが出張ってきた。
 人種にもたくさんの種が入ってきてるからな、おかしな報告が多くなって、見知らぬ種がこのアナハイムへと入り込んでるんでは? ――という疑惑を強くさせてしまった。さっさと世界樹の所に行っとけば……それを考えても仕方ない事だ。

 なに自分はまだしも、他の者たちはこの規模の都市なんて場所には縁がなかったやつらだ。すべてが物珍しかった。だからこそ、その好奇心を抑えることは難しかったのだ。

「なに、心配するな。どれだけ人種が進んだ技術をようしようと、全ての魔法を看破できる訳はない。大丈夫だ」

 事実、自分たちはまだ見つかってはない。本当にあの者たちが魔法をすべて看破できるなら俺たちは既に見つかってるだろう。

「ですが、一瞬ではありますが、奴らは我等に銃を向けましたぞ」
「勘の鋭い奴は何処にでもいるるだろう。それに明け透けすぎただけだ。ここからは一気に世界樹を目指す」

 さっきまでの自分たちはこのアイテムの効果に胡坐をかいて普通にしてた。だからちょっと、一瞬? バレそうになっただけだ。実際はばれてはない。何かがいるかもしれない――としてあの者たちが出てきたが、俺たちの存在にまだ完璧に気づいたわけではない。ここから素早く世界樹を狙っても十分任務はできる。

 アナハイムは素晴らしい都市だ。かつての栄華を誇ったライザップにも負けてはない。そしてこの土地には更にもう二つの同じような規模の都市がある。恐ろしいじゃないか。
 最弱の人種がこんな都市を作り出す――人種にとっても信じられないような出来事だろう。だがな……夢ははかなくも消え去るのだ。我等獣人の都市がなくなったときのようにな。

 今日の繁栄が、明日も続くとは限らない。人種の繁栄は世界樹に支えられてるのは間違いない。

(悪く思うなよ)

 自分はそう心でおもいつつ、ここからはまっすぐに世界樹を目指した。世界樹はでかく、隠せるような規模の物ではない。だから目指すのは簡単だ。

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