美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H277

 
「マサ――つっ!?」

 ガン! と銃身に何かがあったて腕がしびれる。俺はとっさに地面に伏せた。その次の瞬間、ガガガガガとまるで敵が銃を撃ってるかのような音がなる。そして周囲の人たちがどんどんと血を肉をはじけ飛ばして倒れていく。

「地獄だ……」

 さっきまでイケる! やれるんだっていう事を考えてたのに、一気にその考えがなくなった。体は震えてガタガタと歯がなってる。

「ま……まさし……」

 俺は匍匐前進でなんとかマサシの奴に近づいた。次の瞬間にも俺の体も吹き飛ぶかもしれない――と思うと恐怖だったが、でもそれでも目の前で倒れた友達を見捨てるなんて出来ない。

「おい……マサシ」

 そこで俺は気づいた。マサシの体の下に溜まる血だまりを……これは……こんなの……どうやらマサシの出血源はわき腹あたりらしい。これはたぶん内臓まで……これではもう……

「ノリ……オ無事か?」
「お前……」
「へへ、そんな顔してんじゃ……ねえよ――ゴホガハッ」
「馬鹿、喋るな! すぐに医療班が来るはずだ!」

 幸いここはまだ乗ってきた列車に近い。医療班だって一緒に来たはずだ。それに負傷者をあの列車に入れて送り返すのなら、絶対に医療的な設備はある。せめてこの攻撃から身を隠せる列車の反対側に行ければ……そうしたら列車を盾にできるはずだ。

 今は攻撃が激しすぎてどの部隊も動けてない。だから俺がやるしかない。そうしないと友達が死んでしまう!

「やめろ……よ。自分で……わかる。俺は……もう」

マサシの奴がそんな弱気な事をいう。確かに血はめっちゃでて、どんどんと顔が土気色してる気がするが、まだ大丈夫だ! きっと! 俺はなんとかマサシを抱えようとする。

「ひっ!?」

 俺の頬を何かがかすっていった。そしてその鋭さに頬は切れ、血が流れる。もしも今のが数センチでもズレてたら……そう思うと、動けなくなった。一応地面に伏せたまま応戦もしてるが、今度の敵は森の中から攻撃を仕掛けてきてるらしく、狙いを定めることが出来ない。
 だからただの撃ちあいになってる。

「もう……いいんだ。お前と知りあえて……楽しかったぜ」
「まさ……俺は……」
「お前は生き……ろ」

 そういってマサシは目を閉じた。俺はなんて奴なんだ。目の前で親友が死にそうなのに、恐怖で結局足が動かなくなって、どうしようもないなんて。
 周囲ではマサシと同じように、今にも息を引き取りそうな人や、怪我をして痛みを訴えてる人たちがたくさんいた。でもそれでも、俺はなにも動くこともできないし、友の死に怒って銃を我武者羅に撃ちまくることもしなかった。
 だって俺はただ怖くて、なるべく動かないように、自分がただの死体だと、友の死体をカモフラージュに使ってたんだ。そうこうしてる内に状況が変わった。どうやら列車には武器が備え付けられていたようで、それで極太のレーザーを撃って、一時的に攻撃の波がやんだ。その隙に体制を整えるために一時後退となった。衛生兵の人たちが回収できる人たちをダンプで集めてた。

 マサシも一応持って行ってくれたが……

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