美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H273

「さっさと最後尾につけ!! そして着替えて装備を点検しろ!! 戦場はどんどん近づいてるぞ!!」

 俺とマサシはそんな風にいきなり怒鳴られた。そのあまりの声の太さにビクッとなったのはいうまでもない。しかも普通に顔怖い。めっちゃ強面じゃん。

「えっと、ここは……」
「口答えするな蛆虫が!! 貴様らの返事は了解以外認めてなんてないぞ!!」
「「了解です!!」」

 俺たちは訳もわからず、壁にかかってた服をとった。それはその強面の人が顎でそれを示したからだ。俺たち二人はそれに袖を通すために、今着てる服を急いで脱いでパンツ一丁になって着替えた。
 はっきり言って何がなんだが意味がわからない。

(さっき戦場って言ってたよな?)
(ああ、これってマジで軍隊? なのか?)

 俺たちは着替えながら視線でそんな会話してる。いや、実際通じてるのかはわからない。マサシの方の言葉は俺の想像だし。だが俺たちは気が合う友達だ。多分あってると思う。

「さっさと武器を取れ! 情報では一応訓練は受けてるのだろう。メンテナンスくらいできるだろう。さっさと点検を済ませ。死にたくなかったらな!!」
「「了解です!!」」

 俺たちは着替え終わって壁に設置されてる武器をとる。なんか人数に対してかなり多い武器があるが、とりあえず一番手前のやつを急いでとった。

(おもっ!?)

 なんだろうか、いつも授業で使ってる銃よりも重い気がする。それになんか触った感じがちょっと違うような? 見た目的にはにてるが……よく見るとこれは訓練て使ってるウ型でも型番違いのようだ。
 人種のメイン武器である銃にはそれぞれ種類ごとにア型やイ型とかそれぞれ種類によって分けられてる。ウ型は中距離を得意とする銃につけられる型番だから一番定番だ。
 だから授業でもこれを使ってるんだが……訓練で使う奴よりもこれはもっと最新型? なのか?

「どうした? まさか使い方がわからんとかいうのか? ならただ死ぬだけだが?」
「いえ! 問題ありません!!」

 ちょっと戸惑ったが、重いくらいで別に使い方が違う訳ではないし、分解だって手順自体は同じだ。メンテナンス出来ない訳じゃない。
 
 俺たち二人はこの列車の中の人たちと同じ黒い軍服に身を包み、早速銃のメンテナンスに入った。そしてそれを見た強面の人は前に行って、そして声を張り上げる。

「聞け貴様ら!! これより我らは戦場へと参戦する。幸いにも一晩で戦場へと続く線路はこうやって出来てる。降りたらそこは戦場だと思え!
 列車が停止したと同時に、右翼へと展開して、敵を撃ちまくれ。その間に負傷した仲間達を列車へと詰め込みそれを護衛する。すぐに負傷してこの列車に戻ろうなどと考えるな! 貴様達の席は片道分しかないと思え!!」

 何つー滅茶苦茶な……とか思ったが、もちろん異論を挟む人なんかいないから黙っとく。てかこの空気の中、下手なことは言えない。なにせどんどんと確かに外から激しい音がしてる気がする。

 戦場? 本当に? だがこんな壮大なドッキリを俺たちに仕掛ける意味はない。それでも俺達は思ってた。

(ハハ……まさか……な)

 って。

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