美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H249

「まあアクトパラスとゼンマイの奴の問題はメルたちに対処させるけど、まずはオウラムね」
「オウラムとアクトパラスとゼンマイをぶつけて、疲弊した所にこちらの軍で襲撃をかける……ということでしたが、どうします? 一旦準備を停止させますか? 
 すでに出発してる部隊もありますが、今ならまだ戻すことはできますよ?」

 アンサンブルバルン様のその言葉に、ラーゼは首を横にふるう。

「もう、最後の戦いは始まってしまった。それは間違いない。これらは後手に回らないように立ち回ることが大切でしょう。オウラムは実際今は疲弊してるわけだし下手に時間を置くのは奴らを休ませるだけ。
 多少なりともダメージを追ってる今、潰しましょう」
「そういう事でしたら、滞りなく今の作戦を進めましょう」

 そこで自分は手を挙げて発言を試みる。

「どうぞ」
「このままの作戦……ということは、自分はまだ出撃準備に入らなくていいという事か?」
「そうね……最初はカタヤ動かすと絶対にミリアに気づかれるからそれが嫌だったけど……第一機甲師団にも出撃してもらいましょう。オウラムにはモノクロのアンティカがいます。それを相手できると思うのはやはりアンティカだけですしね。
 ゼロは戦闘特化じゃないし、相手も剣持ちです。ファーストがいたほうがいいでしょう」
「了解した」

 モノクロのアンティカ……それはデータとしては見てる。だが、そのあとのラーゼの言葉でそのデータが当てになるか怪しくなった。

「それと全部隊には最優先命令を与えます。それは王の剣の破壊、もしくは略奪です。とりあえず、あれは壊すか確保してください。
 たぶんラジエルが持ってるので、奴はモノクロのアンティカの乗り手でもあるようです。なので、確実にカタヤとぶつかるでしょう。期待してます」

 そういって微笑んでくる……と思ったら、自分とラーゼの間にキララが入ってきた。無礼極まりない行いだが、キララだから別にその行動を咎める者はいない。

「ラーゼやめて、その喋り方、気持ち悪いわよ」
「おほほ、何を言ってるのかしらこの出来の悪い子は。まじめな場なんだから、真面目に話してるだけよ。貴方だって、自分の信者たちの前では随分と上品な喋り方、してるじゃない?」
「だ、だってあれは原稿がそうなってるからで……やめてよ恥ずかしい。とりあえずカタヤ様に変な色目使わないで」
「別にあんたの旦那を取ったりしないわよ」

 そういってしっしっと手をフリフリして、キララを席に戻すラーゼ。一応席についたキララだが、なぜか時分の服の裾をぎゅっとしてる。そんな不安になる必要はないのに……けどこういうのは言葉でいっても、意味はない。だから僕は机の下で彼女手を握った。

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