美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H235

『何をやってる?』

 アクトパラスとゼンマイの奴がそんな疑問を頭にぶつけてくる。うっさい、そんな疑問を投げるな。私だって冷静になったら、戦場で何やってるんだろう? って思うじゃん。こういうのはノリなんだよ。それにセーファが求めたからだ。

(はっ!? まさか私に恥をかかせるのが目的……)
「ふん、貴様のような奴はしらないだろう。いや、ゼンマイと協力してるのか。だがその関係はどんなものだ? 利用してるだけか? 思わぬ相乗効果……それを貴様はしってるか?」
(あっ、めっちゃ真面目な事言ってるや。真剣なのね)

 まあそれはそれでいい。私だって真面目にやってるしね。でもはっきり言って、ただ自分の中だけで音楽流して踊ってるんじゃ、アクトパラスとゼンマイの様に『なにやってる?』と思うのも仕方いなのかもしれない。
 だってただ一人でシュールに踊ってるわけだからね。ここはマナも豊富だし、思考を直接ぶつけることが出来る。なら、私のイメージだってそのままこいつらに見せることが出来るのではないだろうか? 
 それなら私がどれだけ美しく気高く、そして魅了するダンスをしてるかきっとあのアクトパラスとゼンマイの朴念仁どもにもわかるだろう。
 そうして私にメロメロにすれは、苦もせずに世界平和が近づくかもしれない。それはいい。私の魅力は種族を超えるのは証明済みだ。アクトパラスがタコみたいな見た目だとしても、寛大な私は受け入れてあげよう。
 ゼンマイについては情報がね……ない。だから とれだけグロテスクでも、一応覚悟はしておこう。まあゼンマイという名前だから機械の部品的な奴かと思って想像してるが、この世界の場合、まったく関係ない可能性も高い。

 私はとりあえず踊りながら、頭の中の自分のイメージを確固たるものにする。

(ここは百万人集まったステージで光輝くライトをもった民衆が私のために光の海を演出してるの。そんなステージでライトアップされた私は華麗に舞い、歌う)

 うん、まさに女神。あとはこれをぶつけるだけだ。いやー私ってどこに立っても映える。頭の中の自分にムフフとしながら、そのイメージを皆に見せるために「届け!!」って願った。

『これは!!』
「おお! なんだこれは!?」

 ふふ皆驚いてるね。これがステージって奴だよ。そしてこの中心で踊る私はすごいのだ。

「ふっ、場を整えたのか、確かにこっちの支配権が強まったぞ! よくやった!!」
(ん?)

 何をセーファは言ってるのか……とか思って自分に酔って目を閉じてた私が目を開けると、その場がまさに私のイメージ通りの場所になってた。わぉ……なんかやっちまってたよ。まあとりあえず……流石私。

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