美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H230

 セーファとともに私は禍々しいマナが見える方へといく。不思議なことにこの空間では進むと思ったら進んで、行くと思ったらそこにいけるようだ。うん……わけわからん。
 でもすでに私たちはそれのそばいた。

「なにこれ?」
「種を侵食するアクトパラスとゼンマイだ」
「あいつらやっぱり融合してるの?」
「そのようだな」

 実は行動をアクトパラスが担当してて、ゼンマイ種はブレーンとかしてるのかと……まあこの可能性も考えてたけどね。なにせ繭になってたしね。繭とは蛹が中にいるわけで、そこでは確実に変化が起きてるわけじゃん。ただの気持ち悪い芋虫が蝶になるような劇的な変化……

 でも……

「確かアクトパラスとゼンマイじゃ種の格的に違わない? 融合したら下に引っ張られたりするんじゃない?」

 そういうの定番だよね? 単純に足し算ならまだいいけど、悪ければ逆に弱くなったりする可能性だってある。

「アクトパラスは奪うことに特化した種だ。それを使えばデメリットはないのだろう。ゼンマイはよくわからないしな」
「なるほどね」

 私たちの目の前には虹色にかがやく光を抑え込むようにタコの様な触手が抱きしめるように現れてた。触手は少しずつ種のマナを奪ってそしてさらに触手を増やす……そんなプロセスを踏んで、この源泉を自分のものにしようとしてるみたいだった。

「あれが本体……じゃないわよね?」
「そうだな……アクトパラスはゼンマイと融合することで賢くなったらしい。面倒なことをしてくるぞ」

 そうセーファがいうと、あたりに赤い霧が出てきた。それは紛れもなくアクトパラスとゼンマイが造った新たなマナだ。しかも別の星のように、この世界に適応しないマナじゃない。むしろこの世界の新しいマナと呼べるものだろう。
 でもそれは長期間……それこそ数千年、数万年をかけてマナはきっと徐々に変わっていくもののはず。いきなりの新たなマナはやっぱりただの異物でしかない。
 とくに私にとっては受け入れがたい。なにせ私は今の世界の純なマナをつかさどってるんだ。世界樹の巫女なんだからね。

 という訳で……当然ながらこんな汚らしいマナは認めるわけにはかない。

「きゃあ!?」

 とかおもってたら、なんか吹っ飛ばされた。姿は赤いマナで見えない。けど、どうやら攻撃されたらしい。マナを体に循環させておいてよかった。でも攻撃はどんどんと続く。けど相変わらず姿はみえない。セーファの方もめっちゃぼっこぼこにされてる。

 やばいよ……これ。一方的だ。てか速いとかそんな次元じゃない。

(そうか……ここの特性をうまく向こうは使ってる訳か……)

 さっきの現象。思った瞬間に私たちはここにいた。それを利用してるとしかおもえない。つまり、アクトパラスとゼンマイは攻撃した事実だけを私達に届けてるんだろう。
 そして実際それが私達には届くんだ。

「セーファ、どうでもいいから攻撃しなさい!!」

 ならこっちだって攻撃モーションだけでいいはずだ。私はセーファにそう叫んだ。

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