美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H226

 私はセーファとともに熔岩が流れてる方向とに逆行して進んでる。セーファが一歩を踏むと、溶岩が自然と道を分けるように開けていくから面白い。楽でいいね。

 まあ私は私で、アクトパラスとゼンマイに汚染されつつある熔岩が内包してるマナを浄化してるんだけどね。なんか私、今ここにきて初めて世界樹の巫女らしいことをしてるかもしれない。
 もしかしたらこういう浄化的なことを世界樹を通してやってたら、今のアクトパラスとゼンマイがやろうとしてること潰せたんじゃ? とか思わなくもない。

(まあでも仕方ないよね。誰も世界樹の巫女としての役目とか教えてくれなかったし)

 確か一度、世界樹に詳しい種が来たことかあったけど、結局どこかに消えたからね。種として絶滅したのか、それとも生き残りがいるのかはわからない。あの種なら何か世界樹の巫女の役割とか知ってそうではあった……でも今や後の祭りではある。
 でも一応魔族だって世界樹を守ってきたような種だから、そこら辺知ってておかしくないが……あいつら基本戦闘狂だからな。そこら辺は期待できない。だからこそ、守護と管理では違う種がやってたのかもしれないし。役に立たない脳筋共だ。

 とりあえず私を中心に半径数十メートルを浄化してるけど……どんどんと上にいくにつれて流れ出てる溶岩もおおくなっていくから、この体では使えるマナの量も限界があるし、浄化できる容量にも制限があるね。
 元の体なら、そこら辺気にせずにやれるんだけど……アンティケイドの体ではここらが限界だ。浄化自体は簡単で私のマナの影響下に入ればそれでいい。するとなんか純なマナに戻ってる。原理はしらない。
 なんかそうなる……って認識だ。エデンの羽持ち達の言葉ではそれが世界樹の巫女の特性だろうということだった。もしかしたらこの神の器が純なマナを必要とするから……とかの推論もあったけど、今の私は神の器の方ではなく、アンティケイドの体でも問題なく浄化出来てるからね。
 やっぱり世界樹の巫女としてマナを浄化できる力が勝手に発動してるのかもしれない。

「むむむ……どんだけ出てくるのよ?」
「尽きることはないさ。なにせたくさんたまってるからな」
「さすがに浄化が追い付かないわよ?」
「ここまでくれば十分だ!!」

 そう言ってセーファの奴が山頂付近でパンと両手を合わせた。するとぶわって、彼女の背中から炎の翼が現れる。そして彼女の真っ赤な髪がなびき、たぎりだし実際彼女の髪からは火の粉がでてる。

(綺麗だけど……あっついな……)

 私はなかなか汗もかいたりしないんだけど……まあこの体はアンティケイドだからってのもあるけど……それでも汗がでる。

「食らえ!!」

 セーファはあわせた手を地面につける。するとセーファが手を付けたところから炎が走った。それはマグマとか関係なく山頂付近を一周する。そして山全体に亀裂が入りだして、それらが爆発――するんじゃなく、一気に内部に飲み込まれるように、崩れだした。何やってくれてんのこいつ!? と思った。

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