美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H222

「うわー派手にやってるじゃん」

 私は噴火した山を見上げてそういった。実際周囲にドカバカと岩とか降ってきてるからやばい状況な訳だけど、まあ私には関係ないよね。
 とりあえず当たるやつは私の防御力でどうにかなるし。でもさすがにでかすぎるのは避けるけどね。自分を丸ごと飲み込むほどの岩とか降ってくると困る。

「さてさて、どうなってるかな?」

 噴火はしたけど、戦闘音が聞こえるかと言えば、そうではない。まあ噴火はまだ断続的に続いてるから、かき消されてるってのもあると思うけどね。

 最初はやっぱり山頂からドッカーンっていったけど、少ししたら、側面からも溶岩が噴き出したりしてる。このままじゃ、オウラムの街がマグマに沈みそうだよね。一応町と山の間にはマグマの川みたいなのがあって、それは結構な深さだったけど……でもそもそもが噴火したら、そこもあふれるのでは? そう思って後ろをみるが、その様子はない……とりあえず少しは猶予はあるのかもね。
 上位種とかなら、マグマなんかじゃ死なないだろうが、あの街にいるような中途半端な奴らはダメージを食らうと思う。やっぱりこの世界でも大部分の種にとっては大自然の暴力は脅威なのだ。まあ私にも厄介だけどね。

 なにせ歩きにくいし、マグマが上から迫ってきてる。

「上るのは無理じゃない?」

 一応道が続いてるし、内部に入る入口があるんじゃないだろうか? 私はタッタッタと走り出す。でも私、そんな足早くない。私もマグマでダメージを受けるなんてことはい。けど、あの流れはヤバイ。多分流される。

「見えた!」

 道の先に穴が見える。あそこならマグマをやりすごせ……

「ええー」

 せっかく内部に入り込める……と思ったのに、その穴からもマグマが噴き出してきた。いや、でも考えてみたら当然だ。だって山頂やら、その付近からマグマが噴き出してるんだよ? 
 それなのに山頂よりも下に位置してるあの穴からマグマが噴き出さないのはおかしい。むしろ真っ先に噴き出してもおかしくないでしょ。

「ここは逆に考えて、中に入る前でよかったと思おう」

 うんうん、中に入ってからじゃ、避け様なかったしね。ある意味でラッキーだったと思う。けど私にはすでに退路も進む道もないぞ。

「どうしよう……あわわ……」

 ものすごい勢いで、どろどろとした溶岩が迫る。死ぬ心配なんてしてないが、あれに巻き込まれるのはなんかプライド的にいやだ。だってせっかく綺麗なのにボロボロになりそうじゃん。

「こうなったら……」

 私はグッと足に力を貯めた。溶岩が迫る前に飛ぶ。これで一気に頂上へ……とか思ったが、さすかにアンティケイドの体で一気に頂上までたどり着く出力を出すことはできない。それでもどうにかなる……とか思ったけど、眼下は思った以上にどろどろだ。なんかでっかい岩とかないんかい!! 

「あわわ……」

 数回ジャンプ出来たらそれでいいと思ってたけど、そんな甘くなかった。私はそのまま溶岩の中にダイブ――したとおもったけど、そうはならなかった。

「あれ?」

 なんか私、溶岩の上に立ててる。複雑なマナの操作をすればできそうだと思ったけど、そんなことはしてない。では何故か? どうやら私が着てるこの衣装が関係してそうだった。

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