美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H214


(やっちまったぜ)

 私は内心でそんな風におもってた。でも同時に――

(おおー今回は腕無くならかったし、上達してね?)

 ――とも思ってたよ。蛇口のひねり具合もちょっとづつだけと、上達してる。まあアンティケイドをもっと丈夫に製造できるように成ればいいんだけどね。目標は私自身の体と同じく紙の器クラスだ。まあそれは羽持ち達も、なぜにそれができたのかよくわかってないみたいだけど……奇跡みたいなもので、再現は難しいらしい。
 残念だけどね……でもしょうがないとも思う。だって私ってすべてが『奇跡』みたいなものじゃん。そんな私がいっぱい量産されたら、それはなんか違うからね。もちろん神の器クラスは目指すが、内心はまあその一歩手前でいいかなって思ってる。私は唯一無二だからね。

(てか、そんな場合じゃないか。いや、こうなったらやりきる! それがいい女っものでしょ!!)

 というわけで、私は感覚を忘れないために、バンバンと力を放ちまくる。

「敵襲!! 敵襲だああああ!!」

 流石にこれだけめちゃくちゃやってると、気づかれて当然である。最初はびっくりこいてたオウラム側も、私の攻撃に防御出来るようになってる。なかなかいい反応じゃん。私が本気出せれば、あんな紙防御なんて一瞬で灰に出来るんだけどね。でも今は無理……だって出力これが限界だもん。
 部位欠損を覚悟で放てば、威力を増大させる事は出来る。でも流石に両手ないのは不便じゃん。それに美しくない。私的には片手だけなら、まだ私の美的感覚的に許せるんだけど、両手ないと流石に……ね。だって隻腕とか言われるの格好良くない? 目だって片方なくて、眼帯してる人が人気だったりするじゃん。でも両目ないと人気がグッとおちるでしょ? それと同じだよ。

 だから隻腕は許せるけど、両手ないのは許せないのだ。だからそんな私の事情から、威力は頭打ってる。

「ラーゼ様、皆を回収しました!」
「ラーゼ様が俺たちを!?」
「そんな……俺たちなんかを……」
「「ラーゼ様ぁぁぁ」」

 バイセンが全員をかついだり、腕に抱えたたして戻ってきた。なんか皆さん泣いてる。私はなんとか「よく頑張りましたね」となるべく優しさと威厳を醸し出していっておく。でも内心は――

(やべー、手軽に見捨てようとしてたなんていえないよ)

 ――と思ってた。いや、彼らは死を覚悟してたはずだ。だからそこをぐだぐだと言う連中ではないはず……けど私が直々に助けに来たと思ってるから、ここまでの反応なんだよね。ここは助けにきた体でやり過ごすしかないね。私は誰かにがっかりされるのとか嫌いだし、演技するなら貫き通して見せる! なので格好いい言葉が口をついて出てくる。

「バイセン、とっととそいつらをダンプに投げ込んでここを離れなさい」
「それではラーゼ様が!!」

 私の言葉にバイセンだけではなく助けられた666部隊の面々もなにかいってる。うるさい奴らだ。格好良いムーブしてるんだから、乗っとけよ。これが本体なら、絶対にやってないからね。だって私、自分の命一番だし。これはアンティケイドの体だから出来るんだよ。

(てか一回言ってみたかったんだよね)
「いいから、ここは任せていきなさい」
(くぅー!! 痺れるーー!!)

 私は自分に酔っていた。

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