美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H200

 集まっていく謎の物体。いや、その全てが集まってるわけじゃないみたい。どうやら、3つに別れて、2つはどっかに飛んで行ってる。ここから離れるとは……なんとも余裕を持ってる

「気になるわね」

 私はその様子を見てそうつぶやくよ。だってこの状況で分かれるんだよ? それって戦力の分散じゃん? 愚策じゃない? いや、でもアクトパラスとゼンマイにとってはもしかしたらオウラムなんてのは障害ではないのかも? そう判断したとか? 

「かなり拮抗してる様にも見えたけど、それだけまだ向こうは力を温存してたってことかな?」
「そうは見えませんでしたが」

 私の言葉にバイセンの奴もそう言うよ。確かにね。だってアクトパラスとゼンマイの行動はうまく行ってるのかって言うと、旗から見たらそう上手く言ってるようには見えないと思う。
 でもそれは私達が奴らの狙いを理解してないから、そう思うだけなのかも? もしかしたらアクトパラスやゼンマイにとってはここまで全て予定通り……なんて事も……

「どうにか二体くらいなら、無事なアンティケイド居ないかな?」

 このまま残り二箇所に向かうあの物体を放置してると奴らの狙いが何なのかわからなくなるだろう。だからどうにかしてあれを置いたい。けど、さっきの雪崩で、ここらへんの周辺に集めてたアンティケイド達は軒並み潰されてる。一応アンティケイドは世界中へとばらまいたし、ここに全てが集まってたわけでは無いはず。
 でも数はすでにかなり少なくなったはずだからね。出来るだけ近くに集めたのが仇になったか……とりあいず、生き残ってるアンティケイドたちで、近い方を追ってもらおう。あれの特徴的なマナは今やよく分かる。ネジマキ博士にアンティケイドに指示を送って貰えばいいだろう。
 それにマナに関する事はメルと羽持ち達が調べてる筈。あの赤いマナはいままで私達が観測してたアクトパラスとゼンマイのマナとは違う。明らかに別のマナだ。2つの種はこの世界から生まれた酒で、そのマナだって、私のクリスタルウッドへと帰属してた。根源をたどれば、同じだ。この世界の全ての命はこの世界のマナで出来ているのが当然であり、普通なこと。

 でもあの赤いマナは空から侵略してきた別の星と同じ様に、この世界のマナとは別種に成ってる。問題はそれがこの世界で生まれてるって事ではないだろうか? だって星には一つの世界樹があって、それが世界を満たす訳で……一つの星で二つ以上の別種のマナなんてそんな事……

「あれがアクトパラス……」

 集まった物体が身長五十メートルはありそうなやつに成ってた。今までの懐柔ではない……いや、見た目怪獣だけどね。なにせ顔は丸い頭は光り輝き、黒い円な二つの目、伸びた口、そして顎は幾重もうごめく髭の様な触手がある。更に胴体は人に似た形してるが、なんか黒ずんでて、腕は四本あるし、尻尾もある。

 大体見た目はアクトパラスなんだけど……聞いてた十倍はデカイ。なんかめっちゃ成長したらしい。

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