美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H199

 私は再び空にあがった。言い方は格好いいけど、要は投げられただけだけどね。けど十分だ。それに今度はバイセンがちゃんと力を加減したから、成層圏まで行くこともなかった。丁度いい。なにをしてるのかと思ったら、アルス・パレスがどうやらマナ砲を撃ち込んでるみたいだ。

「なんか赤いマナめっちゃ出てない?」

 実際アルス・パレスの砲撃でこの変な物体は吹き飛んでる。けど……赤いマナはめっちゃ出てる。もしかしてあれ見えてるの私だけ? でも鈍い人種ならともかく、オウラムには上位に近い種もいるだろう。そういう奴らはあれに気づく筈だ。あれが蔓延したらそのうちアルス・パレスの動力にも支障が出そうだけど……あれか、あの火山が鍵だね。あの火山、どうやらめっちゃマナを引き出せるみたいだ。
 普通、マナを自在に放出出来たりするのはそれこそクリスタルウッドくらいだ。でも、どうやらあの火山、マナを放ってる。マグマじゃなく、マナを出して、オウラムを守ってるみたいだ。

「ちょっと勝手に私の力引き出さないでくれる?」

 聞こえてないけど、文句は言っておく。この世界の力はすべて渡しのものだからね。私の許可無く引き出すとか何様かといいたい。でも赤いマナがままたたく間にオウラムや、引いてはあの山さえも包んでいってる。大丈夫あれ?

 そう思ってると、キラキラとした光が見えた。そして私のところまで風圧が届く剣閃が一凪した。それと同時に赤いマナが一気に散らされて消えていく。

「な!?」

 なにが起きたの? てかなに今の? なんかチートが起きたよ。あれだけ濃かった赤いマナが一瞬で消えた。どういう事だ? 

 びぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

 赤いマナが消えたら、今度は何やらめっちゃうるさい音が響き渡る。しかもただうるさいだけじゃない。めっちゃ不快な音だ。まるで森が鳴いてる様な怒ってるような……そんな音。何かうごめいてる。

「ラーゼ様!!」

 またまた相変わらず私を受け止める気満々なバイセンが受け入れ体制で待ってる。私は抵抗せずにそこにスポっとはいった。

「なにが起きてるの?」
「わかりません、いきなりあの物体が震えだし、そのせいで此の様な音が」

 この嫌な音って、あの物体が擦れ合う音だったのか。でもこすれるってもっと甲高い音じゃない? これってめっちゃ高速で振動してそうな落としてるよ。そんな事を思ってると、私達の側の物体が引いていく。いや引いていくっていうか……なんか浮き出して集まっていってるような……やっぱりだけど、まだまだアクトパラスやゼンマイ種は終わってないようだ。

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