美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H194

「それじゃあやっちゃって!」
「本当にいいのですか?」
「だってそれしかないしね」

 私とバイセンはダンプから出てきてそんなやり取りをしてる。この変な物体の雪崩のおかげというかなんか変だけどおかげで山火事は収まった。なにせこの物体が森のかなりの部分を飲み込んだからね。
 もう森っていうか、この物体の廃棄場みたいな……そんな感じになってる。てかさっきからこの物体……淡く紫に光ってて超不気味。なにせアクトパラスとゼンマイが仕込んだ何か……なんだろうから、余計にね。でも光るだけで何かが起こるわけではない。

 なんかその光が呼吸の様で気持ちわるいんだけどね。とりあえず下手に刺激しても怖いからね。どうなってるかを見るためにも、私は現状を俯瞰したいのだ。それにはダンプの双眼鏡でも足りない。あれもかなり上に伸びるんだけど、もっと必要だからこれである。

「そんな……ラーゼ様を投げるなんて……恐れ多い」
「私がいいって言ってるんだから、割り切りなさい。あんたのその力を見込んでのことよ。バイセンの力なら、私を投げ飛ばすくらい簡単でしょ?」
「それは……そうですが」
「なに? 変な所触るかも……とか思ってる訳?」

 私はクネッとやって腕で体を抱いてみせる。するとそれを見てバイセンが顔をそむけた。ふふ、顔が赤くなってるのは隠せてないぞ。

「滅相もない。私なんかではその御身に触れることさえ、おこがましいと思ってるだけです」
「まあいい心がけです。でもこれは日強ゔな事。それに私がいいと言ってる。私の言葉を、意思を否定するんですか?」
「そうではありません! わかりました。天命に従いましょう」

 こいつ……めっちゃ重いな。重いというか硬い。まあだからこそバイセンに合わせて私は堅苦しい言い方をしてる。その方がこういう奴に言うことを聞かせるにはいいかなって思ったんだ。ずばり的中したね。

「ほらほら。どうせこれは私の本当の体じゃないんだから」
「失礼します」

 私は両手を伸ばして受け入れ体制をつくる。まあ片腕ないけどね。バイセンは大きい。私の脇を持って持ち上げるだけで、目線が変わる。でもまだこんなものでは駄目だ。

「どうやって投げるの? このまま、両手使う?」

 ちょっと格好悪いが、それはそれで安定出来る様なきがする。

「いえ、もっと打ち出す様にしたいですが……そのお尻から押し出す様に」
「あらあら、バイセンもちゃっかりしてるわね」
「そういうわけでは!? それが一番力を伝えやすいと思っただけで……最善を考えた結果です」

 なるほどなるほど。最善手なだけで、他意はないと……そういう事をバイセンはいいたんだね。わかったわかったそういう事にしておいて上げよう。私の評判いいお尻を触りたい……鷲掴みしたいわけではないと。

「まあいくらでも触りなさい。別に本体じゃないからね」

 とりあえずまずは肩に乗せられた。それから右手の内側を乗りやすい様に水平にしてくれたからそっちに移る。なかなか大きな手のひらは乗り心地悪くない。私のお尻が手のひらに乗ると、なにかピクッとバイセンがした気がするがいい女はわざわざ指摘なんてしない。たんと堪能しなさい。
 まあこの体はアンティケイドなんだけど。

「では行きます!」
「よしこい!」

 私は椅子に座ってるかの様な態勢で大きく直角に傾いた。バイセンは片足を高く掲げてる。本当なら、私も後ろに倒れるがそこは背もたれと化してるバイセンの指が私を保持してる。そして真上に向かって、私を打ち出した。

 風圧が私を襲ってくる。ちょっ! 息できないよ。それになんかグングン高くなる毎に寒くなるし……

「え? これってどこまで上がるの?」

 と思った。

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