美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H181

「それで何か言うことがあるなら聞くわよ?」

 こっちが言いたいことは言えたからね。このそれなりに遠い場所まで来た奴らもいるし、なにか言いたい事があるんだろう。まあカタヤとかはなんとなくわかるけどね。

「ラーゼ様! この局面は重要なものであると思います。ならばこそ、我らロイヤルガードに出撃命令をください!」

 グルダフの奴が片膝をついてそういうよ。ロイヤルガードというのは私直属部隊の事だ。まあグルダフは軍とかを実現場で動かすトップだけど、そのロイヤルガードの隊長でもある。

 実質的な軍のトップはヘビのやつだけどね。まあ頭を使うやつと体を使う奴に分けた感じだ。現場主義なグルダフ的にはこの重要な局面に動きたいのだろう。

「うーんどう?」
「ラーゼ様はまだ公にはしたくないのですよね?」
「そうだね。だからカタヤもここに要られちゃ困る。どうせあんたもグルダフと同じでしょ?」
「そうだ。クリエイトは行くらしいじゃないか」
「あのアンティカバカは使いやすいから」

 てか第一機甲師団は彼奴くらいしか使いやすいやつ居なんじゃん。立場的にね。まあクリエイトのやつだって今や人種の英雄だから、動かせば バレやすいんだけど……まあそこは情報規制して貰えばいいでしょ。それに今回はゼウスは待機してもらうし。
 あれは第一機甲師団専用の飛空艇だからね。あれが動くとどうしても気づかれる。

「なんでそもそも秘密裏に進めてる? 後の敵はオウラムとアクトパラスとゼンマイ種だけだろう。一網打尽にする機会だ」
「それは上手くいけばじゃん。それに私が狙ってるのは漁夫の利だし。はっきり言って、どっちかが潰れるか、どっちも消耗してる所でどっちも潰すのが今回の目的だよ?
 そんなの第第的に宣伝できないじゃん。皆華々しい勝利ってやつを無双してるんだよ? だからそういうのは全てが終わった後に作った物語を言えばいいだよ」
「国民たちに嘘を言えと言うことか?」
「良い嘘だと思うけどな」

 卑怯な事をして勝ちましたって言っても格好悪いだけだし、カタヤとかに反旗を翻す奴らが出るかはわからないけど、その可能性がないわけじゃない。でもものすごく、感動的なストーリー後から発表すればぞれが真実になるんだよ。

「それに一番大事なのは勝つことでしょ? 勝てば官軍。勝者が歴史をつくるんだよ」

 私はそう言ってニッコリと微笑んだ。だって敗者には何も残らない。きっと死だけだ。そんな事にならないようにする事が大切なんだよ。多少話を作ったって、勝利の前では些細な問題だと私は思う。
 でもカタヤは正義感強いからね。国民たちには誠実でいたいんだろう。自分が見てきた権力者がそうじゃなかったから、自分はそうならないようにしてるのは知ってる。でも大切なのはやっぱり勝つことなんだよ。勝たないと、その国民たちも守れないしね。

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