美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H176

 双眼鏡を覗くと、空に鎮座してる黒い物体がみえた。この前見たばかりだけど……やっぱり今見ても気持ち悪い。なにあのブヨブヨした感じに、その周囲にうねうねしてる触手とかさあ……めっちゃ生理的にゾワってする。
 女の敵な見た目だけど、案外に絶対に殺すマンなんだよね。服だけ溶かす液なんて生易しいことなんかあいつはしない。

 捕まったら握りつぶされるし、叩かれたら人種なんてぺしゃんこだ。私の事も執拗にくおうとしてたしね。まあ私ほどの美少女を美味しそうと思うのはどの生物も共通なのだろう。

 あんな気持ち悪い見た目になっても私の事を狙うその本能は認めてやってもいい。女の子はしつこいのは嫌いだけど、構われないのも嫌なんだよ。

「なんかオウラムはまだ全部の戦力を投入してる感じじゃないね」
「そうなんですか?」
「だって和達とぶつかったときにいた主要な奴ら見えないし」

 火を纏った女とか、姫とか呼ばれてた幼女とか、それにうさぎっ子……は戦闘員じゃないか。それにラジエルのやつもいないしね。

「あっ」

 そんな事を思ってると、ぶっとい光が黒い物体にぶつかった。その衝撃波凄まじくて、こっちまで凄い風が吹いてきた。それのせいでダンプとかが飛ばされそうだ。

「捕まっててください!」

 そう言って身を乗り出して外にでたバイセンがその巨大な体でダンプ自体を掴んだ。そして腰を落としてまずは片足を上げて四股を踏むかのようにズボッと地面にめり込ませた。

「ふん!」

 更にもう一方を同じ様にして自身の体を地面に固定する。確かにこれなら耐えられそう。私はぱぱっと双眼鏡を戻して中に避難する。

 光は数分間くらい続いた。おかしな持続時間だ。その間、まるで嵐の真っ只中にいるか様になったよ。まあ嵐にしてはめっちゃ眩しかったけどね。とりあえずようやく収まって来たから私は窓に近づいて空をみる。

「うーん……アルス・パレスだよね今の」

 なかなかに強力な一撃を撃つじゃん。まあ完璧なエデンを持ってるこっちの一撃程ではないけどね。かなり高い所にいるから、よく見えないが……流石に今のをもう一度……なんて事はないだろう。

「多分しばらくは大丈夫だとおもうわよ」

 そうバイセンに伝える、彼は足を引っこ抜いてた。本当ならあれだけのマナなら、今後数年は撃てなくておかしくはない。けど、何回か同じ様なのあったしね。ならオウラムもその弱体を克服してると見るべき。
 でも流石に連射は無理だね。

「アクトパラスはどうなったんだろう?」

 けど今からまた双眼鏡を伸ばすのは億劫だ。私はしょうがないから、此の地に集ってるアンティケイドの適当な視界をジャックしてアクトパラスとかの状況を見ることにした。

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