H165

「ラーゼ様、凄い報告がこちらに――」
「ほえ？」

　私が自室でヌイグルミ達と戯れてると、なんか血相を変えたハゲがやってきた。そんなハゲは私とヌイグルミ達の戯れを目に入れた瞬間、その動きが止まってる。

「どうしたの？」
「――ここが天上ですね」
「まあ間違ってないけどね」

　なにせ地上とは言えないし。ここはエデンだ。そして私がいる場所がもっとも尊き場所というのなら、まあここが天上と言っても差し支えないと思う。なにせ私は世界……いや宇宙一の美少女だ。なら私がいる場所こそ、もっとも尊き場所だ。うん、なんの矛盾もない完璧な答えだね。

「で、何なの？」
「そうでした。ラーゼ様、オウラムにあれが接触したと報告がありましたが？　こちらにも来たと思うのですが？」
「あれ？　オウラム……」

　私はちょっと考え込む。そんな私の頬をヌイグルミ達が各々の腕を伸ばしてきてグイグイしたり、私の頭を登って来たり……そんなちょこまかな事をしてくる。可愛い奴らだ。そうやってくれる事で、私の可愛さを引き立ててくれるんだからね。ほらほら、ハゲが胸を抑えて、動機も早くなってるよ？　まあ私がヌイグルミと戯れてるだけでその空間がファンシーになっちゃうからね。しょうがない。

　そんな風に遊びつつ、頭を回してると更にハゲが情報を追加してくる。

「全てはラーゼ様の思惑通りの筈。最強の種と厄介な集まりのぶつかり合いです」
「ああ……ね。思い出した思い出した。そうそう、全ては私の思惑通りだね」

　私はドヤ顔でそういった。忘れてた？　そんな事はない。何事も順調だから、私が気にする必要なんてない。そして私の頑張りのかいあって、どうやらアクトパラスとゼンマイ両種が融合したあの化け物は上手くオウラムへといったらしい。

「流石にオウラムが勝つなんて思わないけど、何も出来ずに負けてほしくもないよね。だって漁夫の利を得るためにも、どっちも消耗してくれないと。それとうさぎっ子だけは助けたいし、部隊を派遣しておこうかな？　あれ？　オウラムには蛇が部隊送ってたっけ？」
「そうですね。第666遊撃独立部隊がいってます」
「そうだったね。なら彼らが生きてたら……その任務を与えましょう。とりあえず後、いくつかの部隊を派遣して様子を見ましょう。最悪その場で止めをさせるかもだし、アンティカがいいかもね」
「わかりました。世界は全て、ラーゼ様の心のままに」
「うむ」

　ハゲは私の言ったことを蛇に伝えて、蛇が最適な部隊を出してくれるだろう。私がやることはもうないので、再び私はヌイグルミ達と戯れる。