美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H156

「アンティカ?」

 確かにそれはそう見える。色々と違う部分は多いが、これは間違いなくアンティカだろう。だが、エデン以外に……いや、このアルス・パレスもエデンの一部。そしてエデンの工場を担ってるのがアルス・パレスだと聞いてる。なら……昔はここでアンティカを製造もしてておかしくない。今、エデンの方で再建されたアルス・パレスは二代目だ。そしてここが初代。ならアンティカがあってもおかしくはない。

『ネズミがまだいたようだな。あれは貴様らの差し金か?』
「アンティカが喋った? いや、中にパイロットがいるのか」

 一瞬驚いたが、普通に考えたら別に驚くことではなかった。周りを確認すると、どこかの工場の中に運ばれたらしい。レーンが上の方では複雑に絡み合い。そして何やらいくつかの大きな容器……それは数十メートルとはありそうなほど大きい。ここは位が、その容器から淡い光が発してるから、一応それが光源のようになってた。このアンティカもまるまる入りそうな、それくらい大きな容器が4つか……それ以上……もしかして本当にこの中にはアンティカがあったのでは? と思える。アンティカを使ってくる敵なんて想定外だ。なにせ他の種族は人種よりも強い。だからアンティカなんてものを必要としないってのが、通説だった。

 でも確かにオウラムならありえるか。そして事実、このモノクロのアンティカは動いてる。つまりはアンティカを使える技術がオウラムにはあると……そういうことだ。

『我は我だが……まあいい。それよりもあれは貴様らの差し金かと聞いてる。これと違って喋れないわけではないだろう』
「これ?」

 そう言うと、モノクロのアンティカは足をどける。そこには何やら、気持ち悪いシミが……それは別に赤いものをぶちまけてなんかない。白い……白いなにか……

「アンティケイド?」
『そういうのか。何やら我の中に入ってきたから思わず踏み潰してしまった』

 アンティケイドが何をしようとしてたのかは俺にはわからない。だが……アンティケイドは踏み潰されてしまったのは確か……って待てよ。俺は左右を見る。

(サポの奴は?)

 もしもここで下手にサポの名前を口にだせば、この眼の前のアンティカの反応で、サポの所在もわかるかもしれない。……が、危険でもある。もしかしたら、こいつはまだサポには気づいてない可能性だってある。なにせあいつは小さいし、分かりづらい見た目をしてる。この状況でも気づかれてないのなら……使えるかも……そう思ってると案の定、頭にサポの声が響いてきた。最初見たときは、頼りになるのかと思ったものだが、今や全幅の信頼がサポにはある。仲間が増えたことで、少しだけ気持ちが持ち直した気がする。

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