美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
H144
「う……」
予想外の大爆発……どうやらなんとかアレの中でも、装備のおかげで生きてるらしい。この装備じゃなかったら、あの爆発で死んでただろう。俺は土の上からなんとか体を起こす。全身がギシギシするが……血を吐くこともないし、どこかが傷ついてるっ訳でもないのはかなり運が良かった。
「現状報告!」
その俺の言葉で、部隊の奴らの声がポツリポツリと届く。だが聞こえない声もある。俺はもう一度言葉を発し、周囲を見る。全員土まみれになってる。後方にはオウラムの奴らも見える。だがオウラムの奴らの方が爆発源から遠かったし、そもそもが奴らは俺達よりもよほど頑丈だ。俺達のダメージ程じゃない。くぼんだ地面の先に口をぽっかりとあけた穴が見える。あそこに扉があったんだろうとわかる。狙い通り、扉は吹き飛んでくれた。だが、予想外に影響が大きい。
「立て! 走るんだ!!」
近くの奴の腕を引っ張って無理矢理立たせる。そいつはまだ無事な方だった。でも全員がそんな運に恵まれてた訳じゃない。なにせこの惨状だ。その衝撃はかなり凄かった。俺達が立てて動けてるのが、本当に運が良かっただけ。
「いってくださいボス。俺達は、ここでなんとか奴らを……とめますから」
そんな言葉に動けない奴らが首を縦に振る。そいつら銃を握って覚悟を決めた様な顔をしてる。いや、任務の度に俺達は死ぬ覚悟くらいしてる。だが、それと同時に、生きて帰る努力をしてる。この顔をするときは、もう絶対に戻れないと覚悟したときだけ。動けないのは二人だ。そいつらは直ぐに銃を撃ち出す。なにせオウラムの奴らは既に動いてるからだ。俺達はどうすることも出来ない。ここで全員やられるのはただの無駄死にだ。ここに残る二人の死を無駄死にしないこと……それが俺達の役目だろう。
「ここは任せた!!」
「任せてください! クリスタルウッドの中でまた会いましょうぜ!!」
それはつまりは死後にって事だ。この世界の生命体は、死んだ後、マナがクリスタルウッドへと帰る。だからそこでなら、死者にだって会える。そう言われてる。実際そうなのかはわからない。俺達にはクリスタルウッドの支配者たるラーゼ様がいるが、そこまでの事はわからない。でも実際、死者のマナがクリスタルウッドへと還る事は認めてくださってる。だからこそ、そんな事を言うようになってた。それにクリスタルウッドに帰る事はラーゼ様の一部になるようなものだ。それは悲観することじゃないと、考える物ででもある。だからこの二人も別に悲観なんてしてない。一足先に、あのとんでもない美少女の一部になってくる……というちょっとした自慢気な笑み。
だから俺達は振り返らずに走り出す。俺達は遂に火山の内部へと踏み入れた。
予想外の大爆発……どうやらなんとかアレの中でも、装備のおかげで生きてるらしい。この装備じゃなかったら、あの爆発で死んでただろう。俺は土の上からなんとか体を起こす。全身がギシギシするが……血を吐くこともないし、どこかが傷ついてるっ訳でもないのはかなり運が良かった。
「現状報告!」
その俺の言葉で、部隊の奴らの声がポツリポツリと届く。だが聞こえない声もある。俺はもう一度言葉を発し、周囲を見る。全員土まみれになってる。後方にはオウラムの奴らも見える。だがオウラムの奴らの方が爆発源から遠かったし、そもそもが奴らは俺達よりもよほど頑丈だ。俺達のダメージ程じゃない。くぼんだ地面の先に口をぽっかりとあけた穴が見える。あそこに扉があったんだろうとわかる。狙い通り、扉は吹き飛んでくれた。だが、予想外に影響が大きい。
「立て! 走るんだ!!」
近くの奴の腕を引っ張って無理矢理立たせる。そいつはまだ無事な方だった。でも全員がそんな運に恵まれてた訳じゃない。なにせこの惨状だ。その衝撃はかなり凄かった。俺達が立てて動けてるのが、本当に運が良かっただけ。
「いってくださいボス。俺達は、ここでなんとか奴らを……とめますから」
そんな言葉に動けない奴らが首を縦に振る。そいつら銃を握って覚悟を決めた様な顔をしてる。いや、任務の度に俺達は死ぬ覚悟くらいしてる。だが、それと同時に、生きて帰る努力をしてる。この顔をするときは、もう絶対に戻れないと覚悟したときだけ。動けないのは二人だ。そいつらは直ぐに銃を撃ち出す。なにせオウラムの奴らは既に動いてるからだ。俺達はどうすることも出来ない。ここで全員やられるのはただの無駄死にだ。ここに残る二人の死を無駄死にしないこと……それが俺達の役目だろう。
「ここは任せた!!」
「任せてください! クリスタルウッドの中でまた会いましょうぜ!!」
それはつまりは死後にって事だ。この世界の生命体は、死んだ後、マナがクリスタルウッドへと帰る。だからそこでなら、死者にだって会える。そう言われてる。実際そうなのかはわからない。俺達にはクリスタルウッドの支配者たるラーゼ様がいるが、そこまでの事はわからない。でも実際、死者のマナがクリスタルウッドへと還る事は認めてくださってる。だからこそ、そんな事を言うようになってた。それにクリスタルウッドに帰る事はラーゼ様の一部になるようなものだ。それは悲観することじゃないと、考える物ででもある。だからこの二人も別に悲観なんてしてない。一足先に、あのとんでもない美少女の一部になってくる……というちょっとした自慢気な笑み。
だから俺達は振り返らずに走り出す。俺達は遂に火山の内部へと踏み入れた。
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