美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H138

 胴体一つ、その前後で体と頭がいるおかしな種の丁度真ん中に俺は降りた。この部屋の向こうには既に追っ手が迫ってる。しかもここはオウラムの中心、絶対に見つかったらそれでおわってしまう位の数の差があるだろう。こいつは天上に張り付いて光学迷彩の服でどうにかなったが、流石に詳しく調べるであろう追っ手をそれで誤魔化せるとは思えない。そうなるともう取れる手は一つだけだ。俺はナイフを二つ取り出して、そしてそのナイフには既に白いテープと青いテープが既に貼ってある。そしてそれを躊躇無く、こっちを振り向いた顔の目ん玉に突き刺した。

「「ぐああああああああああああああああああああああああああ!?」」

 そんな断末魔の叫びが響く。それは勿論俺達だけじゃなく、きっと外の奴らにも聞こえてただろう。その証拠に外の足音が慌ただしくなった。

「この……人種がああああ!!」
「許さんぞおおおお!!」

 そう言って互いの頭が激怒する。そして腕の周りに魔法陣がいくつか出てきた。でもそれは片方ではパリンパリンと消えて、そしてもう片方ではバチバチとおかしな感じを見せる。

「なに!?」
「何をしたあああああ!!」

 俺に跨がられた奴は何が起きてるのかわかってない。それはそうだろう。こんなナイフ一つでどうにかなるわけないと思ってるんだから。俺は奴の中の魔力を阻害して、そして更に別の魔力を混ざる事でその発動を阻害してる。そうなると更に魔力を込めて……そして込めすぎると魔力というのは暴走する。魔力の暴走というのは怖い物だ。なにせ魔力が比較的少ない人種でもその暴走というのはなかなかの被害だ。それももっと豊富に魔力を持ってる種がやるとなると……それはかなりの被害になる。勿論意図して魔力を暴走を仕掛けるなんてそうそう出来る物じゃないが、そういう事が出来ると……俺の角にはその知識があった。

 こいつらは気付いてない。異物な魔力が感覚を狂わせてる事に。そして更にマナを阻害するテープは術者が力を込めるとそれなりには通す事を。常時設置型の陣では一定以上の魔力の流れが制御されてるからな。普通にこのテープで止められるが、術者がいるとそうはいかない。だが、テープの所を流す魔力はより大きな力が必要なのだ。つまりこの前と後ろの奴らは同時に想定以上の魔力を流してる。そしてそれを受け止めてる魔法陣はそれを想定して無い訳で……

「止まらない!」
「このままでは魔力暴発が! 貴様これが狙い――」

 そう行って奴らが俺がいた所を見たときには既に俺達はそこにはいない。全員で壁を打ち抜いて外に無理矢理でたからだ。何かを叫んでこっちに来ようとするが……その瞬間、あふれかえった魔力が光を発して爆発した。魔力の流れも川の様な物。大きく流れると、それだけ行き成り止めるなんて事は出来ない。最初の家に気付かなかったお前の負けなんだ。奴の爆発と共に、建物自体が吹っ飛ぶ。その勢いに押されて俺達は隣の建物へと飛んでいく。

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