美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H129

 決行の時はきた。というかやるしかない。原因はパウジーフラワーたちだった。どうやら俺達とあれには何かしらの因縁が繋がってるらしい。あいつらは別に家とかいらないらしい。だが寄生する。そして花を咲かせる。その花があっという間にオウラムに広がって行ってるのだ。

 それはオウラムを俯瞰して観測してた俺達にはよくわかる現象だった。最初はパウジーフラワーが与えられた一角だけに花が咲いてた。けど、それから時間をおくごとに、その花がオウラムと言う国に広がっていったんだ。どこかの種の地面に広がっていき、建物にも咲き始め、どんどんとそれは広がっていく。まあけどそこまで気にしてはないらしい。
 なにせ一面花畑になる……程ではない。ただ所々に花が咲いてるって感じだ。それが色んな……本当に色んな場所に咲いてて、広範囲ってだけだ。じゃあそれの何が俺達に不都合なのか……それはサポが言うには、あの花も何かを出してるらしい。目に見える物ではない。
 でもそれは確かに何かを出してる。害があるものなかはわからない。でも確実に幻想魔法に影響が出るらしい。サポの幻想魔法はこの作戦の要だ。それが効かなくなると困る。ただでさえ広範囲な性で効き目は薄くなってるのに、これ以上の妨害が入ると、意味なくなるかも知れ無い。

 まだパウジーフラワーの花はオウラムの全土にぽつりぽつりとあるだけだ。でもきっとこれから増えていくだろう。まあアレをオウラムが許容するのかは謎だけど、今でこそ影響があるとサポが行ってるのに、これ以上少しでも増えたら困る。そうなると、やるしかない。とりあえず更に色々と策を練ることにした。まずは幻想魔法。だがこの森にも火を放つ。それもなるべく複数にだ。消火活動にオウラムが意識を向ければ、潜入した俺達に気付く可能性を減らせる。

『ボス、ターゲットが山へと向かっています』

 そんな連絡が入る。もしかしたら直ぐに戻ってくるかもしれない。だが、引くことが出来ない以上、やるしかない。リスクはもう考えたらはてしない。足が止まる……なら出来る事を、考えられる事をやれるだけやってあとは天に……いやラーゼ様に祈ろう。

『動くぞ! サポ、魔法を発動させろ! 魔法と同時に、森に火を放て!!』

 まだまだ日は高い。こういうのは夜間に……なんて思うが、そこまで待てない。それにそれは人種の常識だ。多種多様な種が入り乱れてるオウラムでは通用しないのなら、昼にやっても夜にやっても同じだろう。通信で作戦の開始を伝え、森に火が放たれる。ここらではわからないが、とりあえず動きだそう。無事にオウラムの一角で仲間達と合流できる事を祈るしかない。
 俺はアンティケイドと共に、オウラムへと近付いて行く。

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