美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H128

 俺達は支給されていた双眼鏡を使って力の強い奴を見つけることにした。この双眼鏡は便利な機能が搭載してある。それこそ夜でも見えるとか、倍率を変えたりもそうだが、魔力を見る事が出来るのだ。かなりの高性能支給品だ。これなら遠くからでもオウラムのどこに強敵が……そして目当ての山の主がいるかもわかるだろう。問題としては流石に建物内部は見えないことだな。
 まあだがオウラムは中心は発展してるが、他は土人レベルだ。自然と共存してるだけ……といっていい。あの程度なら、中に居ても中に強い奴がいる――くらいはわかる。でも流石に近代化してる建物は大きくなってるから、外まで見えない。そもそもが我々の国ではそこら辺の対策もしてるから、オウラムもしてるかもしれない。
 まあだがオウラムは人種の国よりも全然小さい。というか、こうやって見えてる部分くらいだ。これなら今の俺達の人数でもどうにか出来る。一応一カ所だけから見ても効率悪いから、慎重に分散する。そこから数時間は観察にあてる事にした。

 成功率は極めて低いんだ。あんまり急いでもしょうがないだろう。そういうわけで時間を掛けてターゲットを見つける事にした。幸いにも食料は二日・三日くらいは持つ。それに俺達は訓練を受けた身だ。最低限の食料でも動けなく成るなんて事はない。そこら辺の案配だってちゃんとわかってる。

 もろちんパフォーマンスが落ちたら成功率は更に落ちる事になるからな。パフォーマンスが発揮できる限界まで粘って山の主を見つける。それから俺達は森の住人となった。二人一組にして交代しながらそれぞれの場所でみる。

 アンティケイドには一度戻って貰おうかとも思ったが、パウジーフラワーが居るからやっばりそれは止めといた。あいつらはアンティケイドをアンティケイドとは知らないが、敵とは思ってそうだし。それに変に警戒されても困る。

 ダンプで逃げたバンセンさんとかが上手くやってくれれば、奴らの警戒は解かれる筈。

 
 発見は案外早かった。一夜明けて朝方に火口から炎が飛び出してきたからだ。別に誰も驚いた様子はないから、もしかしたらオウラムではよくあるのか? でもアンティケイドの記憶にはなかったが……

(気付かれてるのか?)

 パフォーマンスなのかもしれない。その線ももしかしたらある。昨日のうちにダンプを追っていった奴らは戻ってきてた。どうなったのか……気になるが……今は信じるしかない。ダンプを回収してるのは見えなかったが……

(朝に山から出てきたって事は、夜は山に戻ってるのか?)

 早ければ今夜出来るか? サポには一人でオウラムを包む幻想魔法の準備をして貰ってる。サポだけなら、絶対に見つからない術があるらしい。でも俺達もいたらどうしようもない。だから単独行動だ。俺はサポと組んでる事になってるから、俺の側には誰もいない。

 とりあえず目当ての奴は見つけた。あいつの行動パターンがわかれば、任務の成功確率が上がる。俺達の部隊は様々な位置からあの女を観察する。

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