美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H102

「もっとちゃんと深淵を見なさいよ」
「深淵って……」

 一体何に影響受けたのか……変な言い回しをしてくるラーゼ。とりあえず力を感じろって事? マナならそこら中にあるじゃん? 私もラーゼよりは大雑把じゃないけど、細かい事は苦手何だけど……

「ううう……」

 私は集中してみた。けど……

「ここはマナが溢れすぎててよくわからない」
「だからちゃんと避けてるじゃん」

 ああ、これってその為に? でも結局この場所ってクリスタルウッドの中なんだよね。ようはマナで溢れてて、めっちゃマナを感じる訳で……多少退けてもらっても……

「なら、直接いってみなさいよ」
「直接いっても……」

 そう言いつつも、私はさっきのワッショイしてた人型が消えた部分に行ってみた。結局の所、私はラーゼには逆らえないしね。だって私の力の根源はラーゼなのだ。だから私が聖女として力を振るうことが出来るのもラーゼの奴のおかげだ。だからあんまり機嫌を損ねるのは望ましくない。

 私は王妃として、時々その力を振る舞ってる。この前気まぐれでラーゼが私への力の供給を絶った事があったけど、あの時は慌てたし、王妃としての威厳が地に落ちる所だった。そう言う事をやってくる奴だからね。別に気まぐれでも私に飛んでこないなら良いんだけど……ラーゼは私で遊ぶ癖があるからね。
 今も何かからかわれてるのかも……とは疑ってる。

「あれ?」

 さっきまでワッショイしてた者がいた場所に来ると、何か違和感があった。ここだけ空気が違うというか……なんか重い感じがする。息苦しさもあるような……

「何か感じる?」
「なんか変」
「流石キララ、相変わらず頭悪そうな返し」
「バッ、バカにしてる!? これでもちゃんと勉強してるからね!」

 私は人種の国の王妃である。だからこそ、ちゃんと勉強をしてる。学校にも通ったけど、それだけで充分かと言われるとそうじゃないだろう。あの学校も人種の国ではレベル高かった筈だけど……唯一みたいな教育機関だったし。でも結局、貴族の淑女教育だったしね。歴史とかそういうのも教わったけど、女の役割……とかを教わる方が多かった。

 今はどんどんと男女に同じ教育をさせてるし、学校だって増やしてる。教育水準を引き上げて、有能な人材をいち早く見つけるみたいなね。そこには男女の差はない。でも数年前は男には男の役割が、女には女の役割があって、学校の教育でも別れてた。まあ私がいた場所はほぼ貴族の淑女が割り振られた所だからそういう教育なのは当然なんだけど。

 逆に亜子は男子に交じって厳しい訓練をしてたし。でもそう言う女性は例外だ。軍には圧倒的に女性は少ないし。でも今や、王妃となった私は王となったカタヤ様を支える役目がある。学ばないといけないことはとてもおおい。沢山の人が補助してくれるが、正しい事を判断するには知識が必要だ。でも結局足りない部分は補うしかないわけで……王と王妃という立場は私とカタヤ様をより強く結びつけたとおもう。

 だって二人共に過ぎた身分だから……だから共に支え合う事が自然と出来てる。

「具体的には?」
「マナを感じない?」
「正解」

 どうやら満足いく答えを私は返せたみたい。

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