美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
H94
翼を出した私は空中を移動する黒いスライムを誘導する。でもやっぱりだけど、そう簡単にはいかないらしい。こっちが翼を持ったことに、向こうも対応してきた。それは範囲攻撃だ。面制圧ともいう。私も得意だよそれ。なにせ力は有り余ってる。
沢山さっきの化け物に消されもしたが、学ぶことは多かったし、私は常に成長してる。まあけど、奴の触手は厄介だ。なにせ奴は触手のどの位置からでも魔法を出すことが出来る。触手だけじゃなく、本体のどこからでも……でもあるけどね。
とにかくどこからでもだ。普通は魔法は腕を伸ばしたり、杖を伸ばしたりした先に陣を展開して発射する。そういうイメージの方が行使しやすいからだ。魔法が得意な種なら、足元や背中や、そこら辺に展開しても魔法を使うことは出来るし、私もそれは出来る。
でも結局、近くからしか放てないって制約はある。遅滞魔法とかあるにはあるけどね。地雷みたいにするとかさ。でも遅滞魔法とかじゃ、威力を出すのが難しいよね。あの黒いスライムみたいなのには効きそうにない。やっぱり直接力を込める事がロスが少なくて良いんだよね。
そしてそのロスってのは多分だけど、体から離れる程に大きくなる。まあ当然だね。だって遠い魔法を操るってかなり難しい。リモート操作してるみたいな物だから当然ではある。それを考えると、アンティケイドを操って、こうやって色々とやってる私の力も相当分ロスしてるんだろう。まあけど問題にはなってはない。
問題はあの黒いスライムみたいなのの、飽和攻撃が縦横無尽過ぎるって事だ。私は自分の周囲からならある程度自由に魔法……というか力を放てる。実際、この体に当たる分を防げれば良いんだから、それで充分ではあるんだけど……黒いスライムはそれこそ様々な所に触手を伸ばして様々な所からめっちゃ魔法を放ってる。しかもその一つ一つが雑魚みたいな攻撃なら別にいいよ。
でも多分だけど、あの黒いスライムみたいなのはゼンマイ種とアクトパラス種のなれの果て……なのかはわからないがその力に準ずる何かだ。飽和攻撃の一つ一つの威力もバカにはならない。はっきり言って、もう追いつかれない事を考える事しかできない位だった。
羽が生えて空を飛べる様になったときはこれで楽勝じゃん――とか思ってたが、それはどうやら甘い考えだった。今の私はただ真っ直ぐに飛んでる。だって避ける場所がない。なら、このアンティケイドの体にマナを行き渡らせて、自身を強化してただ真っ直ぐに飛ぶ……それが一番だからだ。
私だからこそ出来る、当たりながらも突破する方法でなんとかやってる。
『むむ、これは――ラーゼさ――まず――アレの狙い――は――』
「ちょっ!? どうしたの?」
ネジマキ博士との通信が途切れた。流石に力が混戦しすぎたか? でもそれらアンティケイドに移してる私の意識も本体に戻るんじゃ? 周囲の景色が奴の攻撃で満たされて風景という物がなくなった。幾ら呼びかけてもネジマキ博士は応答しない。
とりあえずオウラムに向かう事だけはやめない。今の私の頼りは視界に映る矢印だけだ。これはきっと……いや多分正しい筈。
沢山さっきの化け物に消されもしたが、学ぶことは多かったし、私は常に成長してる。まあけど、奴の触手は厄介だ。なにせ奴は触手のどの位置からでも魔法を出すことが出来る。触手だけじゃなく、本体のどこからでも……でもあるけどね。
とにかくどこからでもだ。普通は魔法は腕を伸ばしたり、杖を伸ばしたりした先に陣を展開して発射する。そういうイメージの方が行使しやすいからだ。魔法が得意な種なら、足元や背中や、そこら辺に展開しても魔法を使うことは出来るし、私もそれは出来る。
でも結局、近くからしか放てないって制約はある。遅滞魔法とかあるにはあるけどね。地雷みたいにするとかさ。でも遅滞魔法とかじゃ、威力を出すのが難しいよね。あの黒いスライムみたいなのには効きそうにない。やっぱり直接力を込める事がロスが少なくて良いんだよね。
そしてそのロスってのは多分だけど、体から離れる程に大きくなる。まあ当然だね。だって遠い魔法を操るってかなり難しい。リモート操作してるみたいな物だから当然ではある。それを考えると、アンティケイドを操って、こうやって色々とやってる私の力も相当分ロスしてるんだろう。まあけど問題にはなってはない。
問題はあの黒いスライムみたいなのの、飽和攻撃が縦横無尽過ぎるって事だ。私は自分の周囲からならある程度自由に魔法……というか力を放てる。実際、この体に当たる分を防げれば良いんだから、それで充分ではあるんだけど……黒いスライムはそれこそ様々な所に触手を伸ばして様々な所からめっちゃ魔法を放ってる。しかもその一つ一つが雑魚みたいな攻撃なら別にいいよ。
でも多分だけど、あの黒いスライムみたいなのはゼンマイ種とアクトパラス種のなれの果て……なのかはわからないがその力に準ずる何かだ。飽和攻撃の一つ一つの威力もバカにはならない。はっきり言って、もう追いつかれない事を考える事しかできない位だった。
羽が生えて空を飛べる様になったときはこれで楽勝じゃん――とか思ってたが、それはどうやら甘い考えだった。今の私はただ真っ直ぐに飛んでる。だって避ける場所がない。なら、このアンティケイドの体にマナを行き渡らせて、自身を強化してただ真っ直ぐに飛ぶ……それが一番だからだ。
私だからこそ出来る、当たりながらも突破する方法でなんとかやってる。
『むむ、これは――ラーゼさ――まず――アレの狙い――は――』
「ちょっ!? どうしたの?」
ネジマキ博士との通信が途切れた。流石に力が混戦しすぎたか? でもそれらアンティケイドに移してる私の意識も本体に戻るんじゃ? 周囲の景色が奴の攻撃で満たされて風景という物がなくなった。幾ら呼びかけてもネジマキ博士は応答しない。
とりあえずオウラムに向かう事だけはやめない。今の私の頼りは視界に映る矢印だけだ。これはきっと……いや多分正しい筈。
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