美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H87

 私達は更に繭に近付く事にした。どうやらあの繭が出してるマナはこの世界のマナと相違ないけど、でもどう考えても何らかの影響を受けてるマナの筈だしね。クリスタルウッドの真似をしてるのなら、きっと何か理由があるはずだしね。

「うーん」

 はっきり言って困った。だって別段影響がない。マナを循環させるって事は、自分たちに都合の良いマナでも辺りにばら撒いたりしてるかとも思ったけど、もしかしたらこれは奴らの力が強いからただマナにその力の影響が波及してるだけかも知れ無い。

 それは上位種にとっては普通に起こりえる事で、もしかして、繭がマナを循環させてるってのは私目線でしかない野かも知れない。つまりは、ゼンマイ種とアクトパラス種は繭にそんな機能をつけたつもりは全くない……とか。ただ単にあの姿を維持するためにマナを使って、吐き出してるだけなのかも? こうなったらあの繭を直接調べたい所だよね。
 でも……

「流石に中に何かいるよね?」

 なんたって繭だし。繭の中はドロドロらしいけど、これの中身もそうとは限らないよね。まずデカさおかしいし。とりあえず何か合ったとしても別にどうせ失うのはアンティケイドだから別に良いんだけど、私達側の工作とか気付かれるとね……どうにかしてオウラム達にこいつらはまずけしかけたい。
 でも上位種って愚かではないんだよね。当たり前だけど、膨大なマナは力だけじゃなく、知性だって育んでる。人種の様に便利な物を生み出す……なんて事をしないのは、奴らは力でなんでも解決だからであって、決して頭が悪いからじゃない。高度な知性を有してるのが普通だ。

 そうなると騙すのはなかなか難しい。マナだって感じてるだろうしね。愚かなオウラムの奴らをけしかけた方が良いだろうか? でもちょっとだけ、ちょっとだけあの繭の中身に興味がある。繭って事は此の後成体が出てくるのかもだし、これが奴らにとっての進化の方法とかだと……厄介。まあ上位種で進化なんて聞いた事無いけど……それに他にも気になる事はある。

 私達の所にもそうだけど、もう力では勝てないってわかった種がこいつらの所にも来たはずだと思うんだよね。でも……魔物以外この周辺には居ないみたいだ。そもそも種が生活できる様な建物とかないし……ここにはこの繭は魔物以外、何もいない。これはおかしい。もしかしたらあの繭の中に実は生活圏を形成してるのかも……とかも思ってる。

 だから確かめたいんだけどね。私はちょっと地面をけって高く跳んだ。そして繭に張り付く。別にベタベタもしてないね。実はこの繭自体が罠? とか思ったけど、この繭に拘束力はない。それに直接ふれてわかったけど、この繭……超高密度のマナみたいだ。ヤバい位のマナの密度してるよ。何これ? 

「これは……生半可な力じゃ傷一つつかないじゃ……」

 それくらい超高密度のマナを感じる。とりあえず私は指を銃の形にして一回光線を放ってみる。指の先で拡散した光はやっぱりだけど、繭に傷一つ付いてない。もっともっとマナを込めればイケそうだけど……

「うーん非効率的だよね。ならアレを使おうかな」

 私はさっきの化け物がやってたことをちょっと参考にしてみようかなって思った。

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