美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H43

 日が昇った。小鳥のさえずりや、木々の会話……そして最近アナハイムとかでは感じれない自然の上手い空気で目が覚めた……とか言いたかったが、実はそうじゃない。何やら大きな音が響いてそれで目が覚めた。一体何だったのか……それは直ぐに分かった。何故なら、リリアが太陽を背に上空から現れたからだ。その手にでっかい怪鳥を背負ってね。頭上に掲げるようにしてそれをもったリリアが降りてきた。

「皆さん、おはようございます」
「「「お……おはようございます」」」

 リリアの丁寧なその言葉にいつも荒っぽい俺達もつられて丁寧にそう返す。よく見たら、魔族の二人も付き合ってたらしい。でもなら、リリアじゃなく、彼等が持ってるべきでは? まあそんな提案なんてしたと思うが……実はあの怪鳥めっちゃ重くて、あの二人では無理だったのか? 

「うーん、流石にこのままだと手狭ですね」
「「「え?」」」

 俺達がそんな声をだした瞬間、怪鳥が細切れにされていく。いや、まずは炎で包まれて次に出てきた瞬間、羽とか毛が無くてってた。焼けたわけじゃない。ただ羽や毛とかを燃やしたみたい。凄い調整だ。そして頸がスパッと切れたかと思うと、もっと分割されてた。内蔵や血が抜けていくと、それを手も使わずにまとめてペイって……どっかに飛ばしてた。

「ちょっと待っててくださいね」

 そう言うとリリアはまたまた炎を出してそこに細切れにされた鳥を入れて、更に何やらどこかから取り出した材料も入れて行く。魔族の二人も、なんか森で取ってきてたのか、キノコとか草とか入れてる。炎の中で食材が回る。そして立ちこめてくる匂いに、起きたばかりの腹が鳴る。

「そろそろ出来ますよ~」

 そんな声と共に、魔族の二人がでっかい花を再びどこかからか、取り出した。そしてそれを地面に敷く。するとそこに完成した料理が落ちていく。自分たちのサイズ位ある、肉の塊が次々と……

「怪鳥の香草焼きですよ。スープも出汁で作りました」

 スープはまだ空中に漂ってる。うん……もうなんか本当に規格が違う。森でこんな良い匂いを出してるとか、自殺行為なんだが……まあ今のここなら問題ないだろう。なにせ一夜経っても、生き物の気配が全くない。これはもしや、リリアを恐れて戻ってこれないのでは? 

「それでは皆さん、お粗末な料理ですが、どうぞ」

 そう言われて、皆がゴクリと喉を鳴らした。まさかこんな森の中で、見た目だけなら、あのラーゼ様にも引けを取らない美少女の手料理が食べられる。はっきり言って食べきれる量じゃない。だって怪鳥を丸々一羽使ってる。普通は部位事に使ってくとかだろうが、余すことなく使ってる。肉だけで何十キロあることやら……だが、俺達はかぶりついた。可愛い子が作った料理を残す? そんな気概のないやつは我ら第555特別遊撃部隊にはいない!!

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