美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H39

 私を消滅させようと、追い迫る強大なエネルギーの塊。私が何もせずにこれを食らったせいで、色々とこの森に深い傷を負わせてしまった。けど……まあそれはトレードオフじゃないかな? この森に……というか、この星に隠れて生き残りを賭けてたアラガタの残滓を追い払って、森その者を正常にする事が出来るんだから。

「まあ、けど思ったよりは……一回目よりかはなんとかなってる」

 私は一人そんなことを呟く。本当ならこんな余裕があるはずもない。なにせ大地を抉るほどの攻撃である。下手したら欲し事態に深刻なダメージを与えるかもしれない……そんなクラスの攻撃だ。そう考えると、幾ら私が魔王ミリアだからと行って、大丈夫な理由にはならない気がする。実際、最初の一撃目はかなり驚いた。ダメージ事態はそこまででもなかったけど、それは防いでたから。一回目で今回のように何もしないってなると、かなりヤバい事になるはずだ。

「でも、それって所詮は一回目だけなんだよね」

 私は更にそう言う。目をつむって意識を花が放って来てるこの力へと集中する。あれはアラガタという星をもってここに進行してた奴の残滓だ。既に星がなくなって時間が経ってる。マナは常に循環してるんだから、あれが純粋に使えるマナなんてのはもう殆ど無いみたいな物だ。けどそれなら……こんな攻撃は撃てない。だって圧倒的にマナが足りないだろう。自身に蓄えてたマナを使うにしても、こんなのを二回続けて撃てるわけ無い。そんなことをしたら、あの花は枯れるだろう。

 ならどうしてるのか……普通、違うマナっていうのは毒だ。けど、なんとかその毒にあの花は適用してるみたい。そもそもがアラガタ自体が元はこの星の生命だったわけだし、そのアラガタの残していったマナから生み出された生命があれなら、適応できてもそこまでおかしくはないのかも。そもそもがアラガタからのマナの供給が止まってもこうやって生きて動いてる訳だしね。攻撃を食らいながら、その攻撃を味見しつつ、私はあの花の正体に迫っていく。

 あの花が放つこの攻撃は、厳密にはこの星のマナとも、そしてアラガタと言う奴のマナとも違う奴になってる。あの花が使うために、変な改造を施してるんだろう。体の内部にそんな器官があるのかも。なにせ植物は光からエネルギーとかも作り出せる。ならエネルギーの元であるマナだって変質させることが出来てもおかしくない。それができるからこそ、あのタイプの化け物だけが生き残ってるのかも知れない。

 なにせアラガタのマナは凶悪だった。影響を受けたのは動物とかの方が多かったし、一部の種族だって……でも種は意思があるから、弱くなったアラガタのマナは早々に克服できたようだ。動物とかは大量に死んでるのが発見された。あれは……ね。体事態が変化してて、それをアラガタのマナに頼って延命してたみたいな物だった。だらかどうしようもなかった。一度アラガタ野間名におかされた動物は元に戻ることはない。それが結論。

 そしてあの植物だってかなり変異してる。けどまだ生きて動いて、更に戦いまで……それには動物にはない器官が関係あるとしか思えない。あの植物はきっとここのマナとそしてアラガタのマナに適応してる。マナとしての柔軟性を手に入れてる。

(欲しいね)

 最近、ラーゼに先を越されてる。それじゃあ困る。だから……力が必要なのだ。その為にも、私はラーゼの狙いに干渉してその中で奪う。それが目的。とりあえず十分この力は堪能したし、次は本体……っていうとき、どこからか飛んで来た攻撃が花の一体に刺さった。まあ……意味なんて無かったけど。丁度良いきっかけだった。私は花の放つエネルギーを食らいつくしてその力を腕に纏って、次の瞬間、花の一体を吹き飛ばす。

「さあ、ごちそうさまの時間だよ」

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