美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H31

 この森……やたらと気分悪くなる。私はそう思いつつ、一人進んでた。一応向こうには二人の魔族を置いてるし、それにバンセンさんとサポとかいう奴らもいたから大丈夫でしょう。一応こっちで多く引き受けてるしね。これで倒れるくらいなら、それまでの奴らだ。その程度の戦力しか与えなかった兄様……ううん、ラーゼの奴を恨むべき。きっとこれはラーゼの奴の行動のような気がする。確証はない……けどなんとなくね。

 だからこそついてきたんだし……私の周囲は黒い沼のようになっている。それが半径数キロに渡ってるから、私の周囲はとても静かだ。遠くで銃を撃ってる音がきこえてる。多分向こうも大量の魔物に襲われてるんだろう。こっちもそうだ。寧ろ私の引き受けてる分のほうが多い。でも私の周囲はとても静かだった。なにせそこらの魔物が魔王である私に触れる事がかなうだろうか? 寧ろ私に触れて良いのは兄様だけだ。
 他の何人も許可無く触れるなんて許されない。だから私は魔物なんて相手にしてない。私を中心に広がる沼……この沼の中に魔物共は沈んでる。一度触れると逃れることはかなわない。そんな沼だ。私は汚れることなくあるけどけどね。でも他の生物は一切関係なく、一度触れたらこの沼へと取り込まれる。でも流石に野生の魔物共も智恵くらいはある。先に沼に落ちた奴らを足場にしたりして向かって来たり、木々を伝ってくる奴らもいる。

 この沼が危険だと、流石に理解したか。でもそれでも私に触れ用なんてのは百万年早い。まあ生まれ変わっても許さないけどね。

「グガアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 そんなことを叫んで二つのオオカミの頭を持ってる人型の獣人みたいなのが迫ってくる。そのスピードはなかなかだ。昔の人種なら、こいつ一人で壊滅させられたんじゃないだろうか? と思えるほどの魔物。きっと災害級はあるだろう。でも今の私には赤子と同じだ。私がちょっと指を動かす。それだけで沼の一部が鞭の様にしなってその二つの頭を持つ魔物へと向かっていく。そしてそいつの体を引き裂いた。

「あら、もっと頑丈だと思ってたのに、案外脆いわね」

 私的には二・三発は耐えられることを想定してたんだけど……なんか思ってたよりも柔かった。まあそれでも普通に銃弾ははじきそうだけどね。そんなことを思ってると更に木々の上から私へと襲いかかってくる魔物共。その姿形は様々だ。猿みたいな動物的な奴から、昆虫的な見た目の奴まで居る。まあ魔物はマナに犯されて突然変異した存在だ。マナは基本命の源だけど……取り過ぎると毒になる。

 普通は毒になるほど取り込む生き物なんて居ない。けど、時々マナが滞って澱み……に成ってる場所ってのがある。マナは循環させないといけない。けど世界樹へと帰れないマナが淀みになってしまう事がある。そういう所に生物が入り込むと、澱んだマナを取り込んでおかしな事に成る。魔物の発生はそんなところだと言われてるけど……この数は異常すぎる。大きなマナの淀みがある。私は一人そこに向かってた。

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