美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H30

 ダンプが幹を走りそして大地に再びタイヤを穿つ。ガコンガコンと車体が揺れて車内がシャッフルされるが、このくらいで倒れる柔な奴らはここには居ない。邪魔な木を更に打ち砕き、片輪走行をしつつも銃をぶっ放す。紙一重でダンプはその進みを止める事はない。

「ボス! 流石にエネルギーがヤバいぞ!!」

 まあそうだろう。何せかなりの無茶をさせてる。これでエネルギーがなくならないわけがない。寧ろこれでなくならなかったら、どういう技術力なんだって事に成る。まあとてもありがたいが……実際はそんな超技術は乗ってない。使った分のエネルギーは当然として減っていく。だからどうにかして補充が必要だ。一応このダンプは周囲からのマナを変換してエネルギーとする技術が搭載されている。
 けどそれが間に合うスピードではない。なにせただ取り込むだけでは、同時に動かしてるだけでも、減るエネルギーの方が早いんだ。基本、周囲から自然にエネルギーを取り込む機能は停車中の充填用で、動きながらだと、少しでも長く稼働させるためのもの。けど今の状況では圧倒的にエネルギーを消費するスピードの方が早い。

「なら、これならどうだ!!」

 俺は銃を向かってくる魔物の一体に向けて何発も撃つそしてカードをスキャンさせて玉の特性を変化。撃ち放った銃弾は刃と成って、その魔物の体の一部を切り離す。それを更に網状に変化させた銃弾で回収して、後部のエネルギー変換装置にぶち込む。すると魔物の体の一部はエネルギーとなってダンプの馬力が一時的にでも上がった。

「よし! 奴らはエネルギーになり得る!! 隙を見て奴らを鹵獲! エネルギーに変えつつ進撃だ!!」
「「「了解」」」

 既に個の森全体の生物から狙われてるかも知れない。どこまで進めば良いのかも分からない状態だ。無造作に走ってるから自分たちの現在位置だって分からない。色々と調べるには一度止まる必要があるがこの状況では無理だ。何せ止まったときが俺達の終わりの時……そうとしか思えない状況だから。進むしかない。この森の生物を全て消滅させれば、多分任務としては達成できるんじゃないだろうか?

 今はそれを願うしかない。どこかでこの波が静まればいいが……今はただ、がむしゃらに進むしかない。それぞれダンプの距離が開いていってしまってるのが気がかりだ。向かってくる魔物共には陶製なんて見られないから、完全なる数のごり押しでの結果なんだろうが……これは良くない。でも合流といっても、土地勘がない場所でルートも何も分かった物じゃない。それにルートを想定したとしても、それの通りに行けるとは到底思えない。
 エネルギーの問題は敵を吸収することでどうにか出来る。なら……皆を信じるしかない。そしてリリア。彼女がいれば、この危機もきっとどうにかしてくれる……筈。だから早く戻ってきてくれ!!

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