美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H26

 なんだかんだあったが俺達は魔王――ではなくリリアを加えて再びダンプで走り出す。実際リリアとかならダンプなんかに乗ってるよりも自分で走った方が何倍も早そうだが、そこはちゃんとダンプに乗るらしい。まあこっちに予定という物がある。だからそれには従ってくれるらしい。。というかあんまり早く任務を達成したら、彼女敵にはつまらないのかも知れない。こう言う旅も楽しんでる感じだ。

「懐かしい感じだよ。昔は兄様達とよく無茶な任務をした物だから」
「兄様とは……カタヤ国王様の事で?」

 魔王扱いする必要は無いと言われても、流石に部下で詰まったダンプに彼女を乗せるわけにはいかない。だからとりあえず一番スペースを取れるこのダンプにリリアは居る。元々これに乗ってた奴らは何人かは別のダンプに移って貰って悠々としたスペースを確保してる。前と中と後ろの三列座席の一番後ろは完璧にリリアのスペースとして確立させた。それで狭いと思うが、彼女は文句は言わない。寧ろ楽しそうだ。

「それ、秘密ですよ。でも流石は国の暗部を担当する部隊。色々と知ってるみたいですね」

 魔王と国王の関係はデリケートな問題だ。公には二人が兄妹ってのは公表されてない。まあけど見る人が見ればわかる。魔王には昔の面影あるしな。

「昔の……いえ、何でも無い……です」
「ふふ、良いですよ敬語なんて。何せ私は今はリリアですし」

 彼女は魔王となって、一体どれだけの人種だったときの記憶を保持してるのだろうか? 今の反応を見る限り、俺のことは憶えてはない用だが……まあけどその方が良いだろう。彼女も……そしてカタヤも雲の上の存在となってしまった。悔しいとかではない。寧ろ良かったと思ってる。何せ二人とも下の苦しみを知ってる側だ。だからこそ、人種はいい方向に変わってきてると思う。それはきっと貴族とか、今までの王族が君臨してたら、起きない変化だったのは確実だ。
 今は皆が夢を見てる。そんな時代になった。この世界で一番脆弱な人種が、世界を取れるかも知れないという夢だ。そしてそれは夢のままで終わらせないと皆が思ってる。今までの人種はどう生きるか……どうやって自分たちの生活圏を守るかしかできなかった。けど、今は違う。英雄の言葉に皆が夢を見てる。

「こんなことになるなんて……な」
「何ですかそれは? そんなに私の子と迷惑ですか?」
「そうじゃない。そういうことじゃないんだよ」

 俺が言ってるのは今の二人の立場のことだ。二人とも大きくなった。見えないくらいだ。そしてそれだけ大きな物を背負ってる。自分には何が出来るわけでもないが……せめてこの任務は滞りなく終わらせよう。そう思った矢先、ダンプを襲いかかるように出てきた魔物を真っ先にリリアがぶっ倒してた所を見て、自分たちいらないじゃないか? って思った。

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