美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H21

「私に内緒でそんなことを……ね」

 そういって彼女がその艶やかな唇を舐める。ヤバい……めっちゃ色っぽい。意識を持っていかないとただずっと見つめてしまいそうになる。とりあえず俺達の任務は伝えた。俺達の任務はある種の殲滅だ。人種の敵になり得る種をあらかじめ排除するのが俺達の任務。勿論人種で対抗出来る種なんて限られてる。

 だがそれは素の状態では……だ。俺達は強くなった。最強……なんてことは流石に言えないが、装備と武器でそれなりに渡り合える様になったし、アンティカならかなりの種を蹂躙できる。けど今回はアンティカは居ない。俺達をただ殺すだけの任務なら、確かにアンティカは出せないのもわかる。だが俺達だけじゃなく、バンセンさんとサポがいるから真の目的がそれって事は無いと思う。

「結構少数よね? 大丈夫なの?」
「それは……我らが判断することではありません」
「まあそうね」

 一つの部隊だけで種を殲滅するなんて事そうそう無い。彼女が言ったとおりそれはかなり厳しいんじゃないのかってのが普通だ。何せ普通に考えると人種は弱い。弱者が強者に挑むために重視する物……それは何かというと――数――ではないだろうか? 
 まあ本当に圧倒的に強い種……それこそ上位種には幾ら数をぶつけたって何の意味も無い。それだけの隔絶した差があるからだ。でも流石にそんな奴らを相手にしてこいなんてのは言われないと思う。これだけでも十分――そう判断されるような種が相手の筈だ。

「ねえ知ってる? 人種と魔族の協定のこと」
「一応は」
「それには人種は後方支援で魔族が最前線に立って戦う事がかかれてるのよ」
「そのようですね」

 実際、それってかなり魔族にとっては不利な協定のような気がして成らない。普通はなるべく戦わないようになる物ではないのか? 戦うと言うことはダメージが直接的に入る事だ。魔族だって最強ではない。きっとこれまでの戦いで犠牲はかなり出てるはずだ。

 それに対して魔族と共闘するようになってからは、人種の犠牲はとても少ない。星が落ちてくる際の戦闘が一番犠牲者が多かったがアレはもう仕方ない。寧ろあれだけで済んだと思うべきだろう。下手したらこの星全体がどうなってたのかわからないのだから。

 人種は魔族の陰に隠れてぬくぬくと領土を広げれる協定だ。しかも魔族は奪った土地に興味すら無い。人種はウハウハ以外の何物でも無い。まあヘタな事は言わないがな。

「その任務、私達も協力してあげる」
「はい、ありがたい幸せです」
「勝手に決めて良いの? やけに返事早いわね」

 なんか疑われた。それは拒否られると思ったのだろう。だが、俺にそんな権限はない。俺はただのしがない部隊長。たいして彼女は……

「それは自分には拒否権なんて無い……そうでしょう?」
「そうね、その通り。物わかり良い奴は好きよ」

 そういうことで俺達の部隊に更に魔族が二人加わった。

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