美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話 ある日のシシの日常11

「あれ? なんかエリア違ってません?」
「良いんだ。ここではないからな」
「ふーん」

 快適な空の旅をしてると、外の事なんかどうでも良くなるけど、一応そこら辺はお仕事中だし、気に掛けてる。だから気付いた。工業エリアのアルス・パレスを抜けて、観光客や他種族がするエリアの方へと列車は来てた。まあけど流石に観光客が一杯な場所へは近付かない。もっと長閑な所へと向かってみたいだ。

 そして大きなドーム状の建物がいっぱいある場所に列車は降りる。

「さあ行くぞ!」

 なんかクリエイトさんがとても生き生きしだした。既になんかドームのほうから物騒な音がきこえてる。ここは駐車場なのか、ダンプがいっぱいだ。その駐車場の一角をいきなりこんな列車が占拠していいのだろうか? とか思うけど、まあ結構スカスカだしもんだいなのかな? 

「勝手に入っていいんですか?」
「私の機体はここに今あるからな。ここに出向してる形だから勝手ではない」
「ふーん」

 そんな会話をしてると、前からなんかガタイのいい獣人種がやってきた。

「おうガキと男同伴とは、なかなかやるな」
「なによそれ。私はこいつらにアンティカの素晴らしさを伝えようと連れて来ただけ」
「かっか、まあお前は男よりもアンティカだしな」

 そういって熊の様なその獣人種の人が豪快に笑ってる。その迫力やいなや……食われそうでなんかちょっと怖い。私はギュッとクリエイトさんの服を握った。

「おい、貴様は凶悪な見た目をしてるんだから自重しろ。怖がってるぞ」
「おおう、すまんすまん嬢ちゃん。なに、プリムローズのアイドルを取って食おうなんてしないぞ。ラーゼ様に殺されるからな」
「私達の事、知ってるんですね」
「寧ろこの国居て知らない奴はいないだろう。所で今日は一人なのかな? ミラ様はいないのか?」
「ミラ姉は居ません。別の仕事やってますよ」
「そうか……」

 どうやらこの人はミラ姉推しの様だ。地上の方でライブしてると、大体人種が沢山で他の種なんてちょっとだからあんまり感覚がないけど、私達は他種族の方々にも人気なのだ。他種族が良いと思うようになる感覚は私にはあんまりわかんない。
 だって全然違う。まあありがたい事ではあるんだけどね。

「そんな事よりもアンティカだ。ゼロはどうだ?」
「とっくに新装備は詰んでる。お前が無茶しなければ、いつでもいい」
「私は無茶なんてやってない。ゼロと戯れただけだ。それにお前達も戯れにも全力だっていってただろう」
「まあ、こっちも進化掛かってるからな」

 進化? なんの事だろうか? とりあえずなんかとても物騒だなって思った。

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