美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

閑話 ある日のシシの日常8

「それじゃあ質問良いですか?」

 私は仕切り直してちゃんとお仕事することにした。スクープも大事だけど、ヘタに夢を壊すのもどうかと思うしね。ちょっとコンセプトを変えようかなって……

「普段、クリエイトさんはどんな感じですか?」
「どんな……か……」

 この程度ならクリエイトさんも止めはしないみたい。私は考えたのだ。別に今はスクーブじゃなくても皆クリエイトさんの事を知りたいはずだと。それだけなのだ。まだスクープを欲する段階に来てない。なのでこんなどうでも……まあどうでも良い事でも撮れだかになるはずだ。

「とりあえず彼女はアンティカバカだ」
「バカとはなんだバカとは」
「君をバカと言わなければ、なんというのかな?」
「アンティカに情熱がある!」
「ほらね」

 うーん、仲いいから突っ込みたくなるが、一応我慢する。この人、妻子がいるらしいししね。流石に略奪愛とかはないだろう。そんな邪心はとりあえず追い払って私はとりあえず確認するためにこれを聞く。

「アンティカってあの大きな人型の機械ですよね?」
「そうだが、認識が大雑把だな」
「物騒な物とは距離を置いてるんですよ。アイドルですから」
「物騒じゃない。アンティカこそ、美の結晶! あんな美しい物はこの世に他にないじゃない!」
「うわー」

 なんかクリエイトさんが面倒くさくなった。確かにいつまでも堅苦しい感じなのはどうかと思ってたけど……早口でアンティカの事を語ってこられるのは……ちょっと引く。私は助けを求めてクリエイトさんが会いにきたその人に視線を向ける。

「わかっただろう?」
「ええ、なかなかこじらせてるみたいですね」

 このままじゃ新たな英雄がただの面倒くさいアンティカマニアになってしまうね。今はなんか一人で三機ある英雄の機体の違いを雄弁に語ってる。ごめん、めっちゃ興味ない。とりあえずどうにかして話をもっと別の方へともっていかないと。

「ああ! わかりました二人の関係。アンティカを造ってる人ですね!」
「いや、全く」
「そうね、こいつはアンティカよりもこっちに興味津々なのよ」
「アンティカは大量移動手段に優れてない。それに比べて列車なら一度に大量の物を運べる! それは物でも人でもだ!! この素晴らしさがわからないのか!」

 うわーーーだよ。ここにも変な奴がいたようだ。この人は比較的にまともだと思ったのに……いやクリエイトさんもまともだと思ってたんだけどね。やっぱりこれはあれかな? 類は友を呼ぶ――的な? でもそうなるとこの二人、どこで接点があったんだ?  不思議だ。

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